「サイゼリア全面禁煙」で明らかになった〝禁煙発展途上国・日本〟

今月27日、イタリアンファミリーレストランチェーンの「サイゼリア」は、再来年の2019年9月ごろまでに、原則として全店舗を禁煙にする方針を明らかにした。

現在、国内1057店舗(8月末時点)のうち、大部分の店舗で客席を禁煙席と喫煙席に分ける〝分煙〟としてきたが、全席禁煙の店舗はほとんどない。

ついては、来年2月以降に新規出店する店舗では、喫煙席を設けずに全てを禁煙席にするほか、既存店舗でも喫煙席をなくすための外装工事を行うことにしているという。

今回の動きは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、厚生労働省が強化している受動喫煙対策についての法案の中で、「大手チェーンの飲食店については、原則として建物の中は禁煙とする」ことが検討されていることを受けての決断と見られている。

こうした、飲食業界における〝禁煙化〟の動きは、現在加速傾向にある。大手外食チェーンでは、日本マクドナルドやファミリーレストラン「ロイヤルホスト」が、すでに全店で禁煙を実施。ケンタッキーフライドチキン(KFC)でも現在一部の店舗で禁煙化を進めており、来年3月までに全国およそ320店舗の直営店で全てを禁煙席にするほか、フランチャイズ契約で運営されているおよそ830店舗についても、順次禁煙にする方針を打ち出している。

日本KFCホールディングス株式会社の三浦哲氏によると、「喫煙者の利用は減ったが、ファミリー層の利用が増えた。愛煙家から理解を得るには時間はかかるかもしれないが、家族連れや外国人旅行客が増える中、喫煙に対する利用者の意識も変わってきているので、禁煙化を進めたい」と明かした。

WHO(世界保健機関)によると、日本には〝屋内全面禁煙義務〟の法律がなく、禁煙場所の数は世界最低レベルだという。2014年時点で、世界49カ国が屋内の公共の場所が全面禁煙となっていることをあげ、禁煙化をめぐる日本の現状を「時代遅れだ」と指摘している。

では、世界ではどうなっているのかと見ていくと、アメリカなどでは早くも1990年代に州によっては全面禁煙が実際されている。ほかに、イギリスやフランスなど、官公庁・一般企業・バー・ナイトクラブ・レストラン・飛行機・列車などでの全面禁煙が定められている国も数多く存在しているのが現状のようだ。

ロシアでも2014年6月よりバー・ナイトクラブ・レストランなどでも禁煙となり、イギリスやフランスなどと並んで全面禁煙の仲間入りを果たしている。

このように見ていくと、世界の主流は〝分煙〟どころか〝全面禁煙〟なのである。それを実施する国では、法律で定めていることも明らかになった。世界の主要20カ国・地域首脳会議に参加するG20を見ても、法律で喫煙を禁じている屋内の公共の場がないのは日本だけなのだ。

IOC(国際オリンピック委員会)とWHOでは、「たばこのないオリンピック」を目指していることもあり、厚労省の受働喫煙対策強化に向けた動きは当然の流れと言えるだろう。それを受けての、今回のサイゼリアの判断も、当然なのかもしれない。

まだまだ〝禁煙発展途上国〟の日本。今後も全面禁煙を打ち出す飲食店は増え、喫煙者にとって肩身の狭い時代に突入するのは間違いないようだ。

(文◎朝比奈ゆう)