【月商1000万】本物の詐欺師が蠢く「転売スクール」の危険な罠

昨年11月に開催されたアートイベント「デザインフェスタ」をめぐり、ある騒動が起きている。開催後、出展していたショップの商品をめぐり、「返品・返金騒動」を求める人物が出現。その決着が2月6日についたのだが、その結末が驚きに値すると、ネット上がザワついているのだ。フリマアプリが流行する陰に隠れるかたちで存在が明らかになった、〝転売スクール〟なるものとは何なのか……。

まずは「返品・返金騒動」について、出品者であるMさん自身が発信しているツイッターの内容と、ネット上の情報をまとめてみよう。

インターネット通販で自身のアクセリーブランドを展開するMさんは、2017年11月11日から12日に開催された、オリジナル作品を販売するアートイベント「デザインフェスタ」に出展し、自身の作品を販売した。すると、その後、Mさんの元に以下の連絡が入ったという。

「私の障害を抱える妹が、11月のデザインフェスタで、こちらのショップから購入してきてしまいました。明らかに誰が見ても障害を持つことは分かる子に商品を売るなんてと驚き、家族全員で悲しい思いをしました。返品したく、皆でお店を探し回ったのですが、見つけられないままにイベントは終了してしまい、泣く泣く持ち帰りました。(中略)かわいそうにレシートは貰えなかったそうです」
(原文ママ、以下同)

Mさんの商品を購入した障害を持つ妹の代理として、その姉が連絡をしてきて、品物は新品のまま保管しているため、「返品対応をよろしくお願い致します」と求めてきたのだという。また、「重要な話しですので、弁護士さんを雇いました」「購入先が●●(出展ショップ)だと特定できたのも弁護士さんのおかげ」とも書かれていたそうだ。

その連絡に対し、出品者であるMさんは、「そのような悲しい思いをさせてしまったこと、誠に申し訳ありませんでした」と謝罪。「返品並びに返金については、事情を知らずに販売してしまった事もありますので承ります」と応じる意向を示したという。その上で、Mさんは事実確認のために購入品を撮った写真の送付をお願いして確認したところ、写真の商品が、いずれも自身が販売した商品だと判明。総額は合計21点で4万5200円。これを受けて、Mさんは、返品・返金する旨を連絡したという。

しかし、その後、状況は一変する。実はMさんは、この騒動について、フェス当日に一緒に販売していたスタッフに相談していたのだ。すると、返品・返金を願い出てきた人物の主張する内容の真偽が怪しくなってきたのだ。さらに、自身の作品がネット上のフリーマーケットで販売されているという情報を聞いたことがあったため、確認してみると、障害者の姉を名乗る人物が送ってきた写真と同様と見られる作品が出品されていたという。そこからMさんがさらに調べた結果、驚くべきことが判明する。

なんと、「障害を持つという妹とその姉」という人物は実在せず、全てが姉を名乗る人物による自作自演だったことが明らかになったのだ。その人物は、デザインフェスで大量購入した人(Aさんとする)と同居する人物であり(Bさんとする)、Aさんのメールアカウントを使い一連の行動を起こしていたのだという。

さらに、大量購入したAさんがその動機について「転売スクールの課題だった」と話していることがネット上で取り上げられ、ザワつき始めたのである。これら一連の流れを受けて、「転売目的で大量購入したものの、売れなかったために、今頃になって返品・返金を願い出てきたのだろう」と、今回の騒動を分析する者も出てくる事態に…。

そもそも、「転売スクール」とは何なのか? インターネットで検索してみると、「フリマアプリ販売で月商1000万プレイヤーが直接指導します」「最短&最速で本業の収入とは別に、毎月30万円を稼ぎませんか?」などと書かれたサイトが複数ヒットする。つまり転売スクールとは、転売することで収入を得るためのノウハウを学べるシステムのことで、受講料は高いコースになると30万円以上。働きながら「副業」として転売を行い、儲けている受講生が多数いるという。

こういった転売事情に詳しいジャーナリストの竹村明氏は、「昔から転売で稼ごうする者は後を絶たない」と話す。

「古くは、ヤフーオークションが登場し、個人が物を販売できるようになった20年くらい前から、転売で稼ごうとする者は増えだしていました。最初は、古本屋でキレイな本を買ってきてはネットで販売するなど、身近で簡単な方法が主流でした。今でいう〝転売ヤー〟です。転売を意味する〝せどり〟という言葉が流行ったりもしました」

しかし、転売で稼ごうとする者が増える同時に、手口は複雑化。さらに、その時代の流行に合わせるなど、転売ヤーを騙す詐欺が横行する流れがあると警鐘を鳴らす。

「個人でネットショップを簡単に開設できるようになると、〝ドロップシッピング詐欺〟が横行しました。これは、個人がネットショップを立ち上げ、在庫管理や商品発送は業者に委託するビジネススタイルです。委託費用はかかるものの、個人で在庫を持たなくていいため、あらゆる手間が省けることがメリットです。そのスタイルで転売をする者が増えたため、『当方が在庫管理、発送を代行します』『あなたは商品の宣伝をするだけで簡単に儲かりますよ』などと偽り、金銭を騙し取る委託業者が横行したのです。今回で言えば、フリマアプリを利用して転売する者が増えたため、そのノウハウを教えるという手口の〝転売スクール詐欺〟が横行するようになりました」(前出・竹村氏)

もちろん、全ての転売スクールが金銭搾取目的の詐欺であるとは言い切れない。この手のスクール詐欺については、結果が出なくてもそれを受講生の問題に置き換えることができるため、高額な費用を求める塾には注意が必要だという。

手っ取り早く簡単に儲けようとする人が増えると、その儲けた人間を騙そうとする者が出てくる。これが詐欺の世界である。手口こそ時代と共に変化するものの、根本的な構造はいつの時代も変わらないようだ。いつの時代にも、安易な儲け話には注意が必要だということなのだろう。

(文◎朝比奈ゆう)