【タイ発】代理出産は是か否か…代理母が生んだ13人の子どもの行方

タイで資産家の日本人男性(28)が大勢の子どもを代理出産させていた問題について、バンコクの少年家庭裁判所は今月20日、タイ政府の保護下にある子ども13人について引き渡すよう求めている男性の訴えを認めた。これにより、子どもたちは男性に引き渡されることになる。

「代理出産ビジネス」が盛んに行われていたタイで2014年8月、乳幼児9人がバンコクのアパートが発見され、その父親が日本人男性であったと報じられたニュースをご記憶の方も多いのではないだろうか。その後、この男性は他にも10人の子どもを生ませていたことが判明。このうち、日本に滞在している4人と、カンボジアに滞在している2人の6人を除く計13人の子どもについて、タイの警察当局は、DNA鑑定により実父が日本人男性であると発表している。

父親である男性とは、日本の某有名企業を創業した人物の息子にあたり、騒動発覚後にタイを出国。その後、子どもたちの引き渡しを求めてタイの社会開発・人間安全保障省を相手取り、訴えを起こしていた。関係者などによると、代理母となったタイ人女性らも親権を求めて訴えを起こしていたが、彼女たちはその後、親権を放棄しており、この日本人男性が子どもたちの「唯一の親」とみなされたという。そして、今回、13人の子どもたちをこの男性へ引き渡すことが認められたのだ。

日本人男性は多数の子どもをもうけたことについて「たくさんの子どもが欲しかった」と主張していた。裁判所はこの主張を認め、人身売買などの目的はないと判断したようである。また、裁判所は声明で「子どもたちの幸福と機会のため、代理出産で生まれた13人はすべて原告の法的な子どもであると認定する」と述べ、日本人男性は豊富な資産を持ち、日本で子どもたちを世話するための保育士やベビーシッターをすでに雇っていると裁判所は指摘した。13人の代理母全員も子どもを男性に引き渡すことに同意しているという。

この問題が発覚して以降、タイ当局は、これまで規制のなかったタイでの代理出産ビジネスに対して問題視するようになり、2015年には外国人が現地女性に金を支払って代理出産させることを法律で禁止した。

代理出産については、かねてより議論がなされてきたが、突き詰めれば「生命とは何か」という問題にも行き着く、非常に難しい問題と言えるだろう。

今回の子どもたちの父親である日本人男性については、「自分の遺伝子を残すために、多くの子供をもうけて、その中から優秀な子供に自分の後を継がせたい」と話していたとの情報もある。それは、言い換えれば、代理出産が法律で禁止されていない国を利用し、お金で命を買い、自分のクローンを作る行為との見方もできる。出産とは本来、母子共に危険は付きまとうものの、生命が誕生するという尊い行為であるはずだ。そのような観点から考えるといかがなものかという批判的な意見も存在するのも事実である。

一方で、身体の問題などから出産が出来ない女性にとっての代理出産は、これほど希望的なことはないと言われるのも事実である。実際、そうした女性が代理出産した事例は、幸せなニュースとして報じられることも少なくない。

2つの側面を持つ「代理出産」は、未だに賛否両論の尽きない、答えの出ていない問題の一つである。今回、13人の子どもたちは日本人男性に引き渡されることで決着が着いたが、倫理的な観点から言えば、答えは未だ出ていないままだ。この問題について、人間が答えを出せる日は来るのだろうか。

(文◎朝比奈ゆう)