【インド発】「魔女狩り」で迫害される女性が絶えない経済大国の裏側

 中世ヨーロッパにおいて行われた魔女狩り。これは一部の女性が魔術を使い、人の害悪をもたらす存在である「魔女」だと決めつけられ、滅茶苦茶な追訴、裁判の末に火あぶりなどの極刑に処された迫害を指している。背景には、当時のヨーロッパで起こった宗教や社会構造の大変動によって引き起こされた民衆の不安と、宗教組織や政府といった権力者たちの意向が噛み合ったがゆえに起きた悲劇と言われ、15〜18世紀のヨーロッパ全土において数万人がその犠牲になったと言われている。

 そんな人類にとって〝忌むべき過去〟の一つである魔女狩りは、実は現在もヨーロッパを離れたアフリカや中東、アジアなどの各地で行われている。最近もそんな事例がインドで発生し、世界から注目を集めている。
 BBCが19日に報じたところによると、インド中部にあるジャールカンド州で魔女狩りが行われ、11人が逮捕されたという。魔女とされたのは65歳の女性と、その娘である35歳の女性の2人。村にある病気が広まってしまい、それが娘の魔女によるものとされたと、彼女自身がBBCに対して語っている。彼女たちは、裸にさせられて路上を歩かされ、人間の排泄物を食べることを強制されたという。

 この2人は、家族が死亡した後となる14日に、無免許医に相談をしていたというが、無免許院は家族の死について彼女たちを批判したという。そして翌日、自宅にいる際に親戚がドアを叩いて押し入り、糞便を彼女たちに投げつけた後、それらを食べるように強制したとされている。さらに、彼女たちは髪を剃られ、裸にされた上で村を一周させられ、集まった人々の中を歩かされたという。65歳の母親は「誰も助けてくれず、私たちは恐怖を感じたと語っている。

 警察は、「同様の事件が今後起こることを避けるために、村で啓発活動を開始し、女性に対してより多くの安全を提供した」と声明を発表している。
 冒頭で述べた通り、こうした事件はアフリカや中東、アジアなどにおいて現代も行われており、昨年の8月には同じインドのウッタルプラデシュ州で、道に迷った65歳の女性が迷い込んだ地域の住民たちに魔女と疑われて襲撃され、死亡する事件が起こっている。こうしたインドにおける魔女狩りは、この国に根付いた身分制度である〝カースト〟が大きく影響しているという。

「魔法があることが信じられている」という背景もさることながら、カースト最下層の一つあるダリットと呼ばれる階級の人々に対して、リンチなどをするための言いがかりの一つとして、こうした魔女狩りが用いられることも多いとされているのだ。事実、上記の事件で殺害された女性は、このダリットであったと言われている。
 経済大国、技術大国へと、今まさに著しい発展を遂げつつあるインド。しかし、こうした魔女狩りやカースト制度による差別、性差別など、世界の人々が眉をひそめるような風習、文化が未だに残り続けていることもまた事実なのである。

 果たして、インドはこうした問題を解決し、名実とともに世界のリーダー国の一つに名を挙げることができるのか。この国の今後に注目が集まっている。

(文◎コリス東条)