【民泊女性不明事件】法律がザル?犯罪に使われる危ない民泊の問題点

 兵庫県三田市に住む女性会社員(27)を大阪市東成区の民泊施設に監禁した疑いで、アメリカ国籍のバイラクタル・エフゲニー・ヴァシリエヴィチ容疑者が逮捕された事件で、女性の頭部のほか胴体部分も見つかっていることは昨日もお伝えしたが、ここへきてさらに新たな事実が判明した。

 捜査関係者によると、ヴァシリエヴィチ容疑者は被害にあった女性会社員の他にも、4人から5人の女性を大阪市東成区の民泊施設に連れて入っていたことが分かったのだ(県警により、全員の無事が確認されている)。また、大阪市によると、女性が監禁されたとみられているこのマンションは、民泊制度の認定や旅館業法などの許可を得ていない民泊施設〝ヤミ民泊〟だったという。

 仲介サイトを通じて、外国人観光客や一般人に対し、個人宅やその一室を貸し出す〝民泊〟は、見ず知らずの人の家に宿泊することから、これまでにも様々なリスクが指摘されてきた。その民泊に関する法律や条例だが、一部で「甘い」という指摘がある。これらの問題に詳しいジャーナリスト・竹村明氏に民泊の法整備について聞いてみた。

「個人や法人が有償で反復継続して(つまりは事業として)部屋を貸し出す場合、貸し出し主には『旅館業法』という法律が適用され、宿泊施設として提供できる条件が厳しく定められています。この法律により、防災面や衛生面など様々な要件を満たす必要があります。こうした法律を無視して部屋を有償で貸し出すことは、現在は『国家戦略特区』など一部の条例を除き、原則として違法になります」

しかし、その法律が、これから変わろうとしているという。

「訪日外国人観光客の増加を目指してる政府は、民泊ビジネスを推進する方針を打ち出しています。しかし、外国人観光客の急増による宿泊施設不足の問題が深刻化する中、『ホテルなど従来の宿泊施設に適用されている旅館業法の範囲内では民泊施設の増加が難しい』との判断から、個人宅を貸し出すという今までにない新たなビジネスモデルを『一定の要件を満たした場合には認める』とする法案をこれまで考えてきました。そして昨年6月、旅館業法で禁止されていた、民家やマンションに旅行客を泊めることを認める『住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)』がついに成立し、今年6月から全国で施行される予定なのです」(前出・竹村氏)

 今回の事件は、まさに民泊をめぐる法律施行の過渡期に起きてしまった事件というわけだ。一方、各自治体が独自にルールを決める条例はどうなっているのだろうか。

「現在、民泊に関する条例は『住宅宿泊事業法に関する条例』と『国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例』の2つがあります。『住宅宿泊事業法に関する条例』とは、先に述べた今年6月から施行される『民泊新法』に伴い、営業日数や営業可能地域など、さらに細かい条件について各自治体が独自に定める条例です。これについては、法律が施行前とあって、準備中といったところです。もう一つの『国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関する条例』とは、『国家戦略特別区域法』に基づいて、旅館業法の特例制度を活用し民泊を認める条例です。国家戦略特別区とは、国の成長戦略を進めていくために創設された区域で、東京都、神奈川県、千葉県の一部、大阪府、兵庫県、京都府などがあります。その区域では、自治体が条例を定めれば、民泊が合法になります。これは〝特区民泊〟と呼ばれています。2016年1月に東京都大田区が全国に先駆けて条例を施行し、〝民泊が解禁!〟などと当時は大きく報道されました。平成29年末時点でこの条例を施行しているのは、新潟市、千葉市、大田区、大阪府、大阪市、北九州市のみです」(前・同)

 こうして着々と法律や条例施行が進み、民泊への規制が緩和されてはいるものの、竹村氏は特に〝防犯面〟での危険性を指摘する。

「衛生面や防災対策はもちろんのこと、特に〝防犯面〟で不安な点が多いと思います。そもそも、素人が行う宿泊サービスですので、盗撮や合い鍵を使っての侵入、性被害や盗難被害などに遭う可能性が十分にあります。また、実際にそうした被害も起きています。数年前に話題となった『神待ち掲示板』のように、家出をした女性に対して性的目的で自宅を提供する人が世の中にはいるのです。そうした目的の人が、民泊として自宅を提供する可能性があります。法規制を進める中で、どこまでを緩和して、どこまでを規制するのか、そのバランスが今後の大きな課題であり、重要なポイントと言えるでしょう」(前・同)

 民泊は、今までにない新たなビジネスモデルがゆえ、規制と緩和をめぐる問題は難しいと言えるだろう。しかし、よく言われていることではあるが、事件や問題が起きてから規制されるのではなく、事前の法整備が求められている。ましてや、殺人事件や性犯罪に直結する可能性のあるビジネスなら、なおさらである。

(文◎朝比奈ゆう)