【スマホ64台押収】犯罪に欠かせぬSIMフリー端末をどう規制する?

 神奈川県警捜査3課は、同県平塚市内の家電量販店に展示されていたデモンストレーション用のスマートフォンを盗んだとして、横浜市南区日枝町の無職・木村勝昭容疑者(28)を窃盗容疑で逮捕した。木村勝昭容疑者は2月2日午後6時10分ごろ、平塚市の家電量販店「ノジマららぽーと湘南平塚店」で、展示されていたiPhoneなどのスマートフォン2台(12万6900円相当)を盗んだ疑いが持たれている。

 捜査関係者によると、木村勝昭容疑者は店舗に客として来店。店員の目を盗んで展示してあるスマートフォンを盗む手口で犯行を繰り返していたとみられており、自宅からは計64台にも及ぶスマホのデモ機が押収されているという。神奈川県内では、昨年1月から今月までに、家電量販店などでスマホが盗まれる被害が60件(計91台)発生しており、警察が関連を調べているという。また、デモ機はSIMカードを装着しないと使えないもので、警察は、デモ機が振り込め詐欺など別の犯罪に使われた可能性もあるとみて、詳しい経緯を調べているとのこと。

 調べに対して木村容疑者は、「SNS(会員制交流サイト)を通じて転売した」「転売目的だった。以前はSNSで売っていた」などと容疑を認めているという。

 自宅から見つかったスマホは64台…驚くべき数の窃盗を繰り返していたことになる木村勝昭容疑者。近年、スマホの価格は高騰傾向にあり、2017年9月に発売された『iPhone8』(256GB、SIMフリー)は、8万5000円以上、2017年11月に発売された『iPhone X』(256GB、SIMフリー)は13万4,000円以上という高値で取引されている(参考:価格.com)。

 これだけ本体価格が高騰している昨今、64台ものスマホを盗んだことに対しネット上では、「店側(メーカー側)も何らかの対策が必要になりますよね」「実機の展示品ってケーブルで繋がっていて、無理に外せば警報が鳴ると思ってた」など、盗難被害に遭った店側のセキュリティーの甘さについて言及する声があがっている。その他に、「展示の実機って事は比較的新しい機種だろうから、高く売れるわな。28で無職。楽して稼げるから癖になったんだろうな(すべて原文ママ)」といった、木村勝昭容疑者が無職であるとの発表に対して、スマホの転売で生計を立てていたであろうことを指摘する声もあがっていた。

 本誌解説委員で、犯罪ジャーナリストの竹村明氏は、「SIMフリーのスマホは犯罪で利用されることが多い」と指摘する。

「振り込め詐欺などの犯罪グループは、大量の匿名・仮名の携帯電話が必要となるため、レンタル携帯電話を悪用するケースが多くありました。しかし、携帯電話不正利用防止法の施行により、レンタル携帯電話業者は顧客への本人確認が義務付けられたことで、多少抑止されていたのです。とは言え、悪質な業者が意図的に本人確認をしなかったり、転貸が横行したりする実態があり、警察もより積極的な取り締まりを行うようになっていました。その後、日本で大手通信会社から回線を借りて通信サービスを提供する事業者(仮想移動体通信事業者=MVNO)の音声通話機能付きSIMカードが普及すると、これらが犯罪に利用されるようになったのです。SIMカードも同法の規制対象ではありますが、インターネットで契約申請をし、宅配で受け取ることができます。また、本人確認は、身分証などをネット経由で送る方法などで行われ、偽造や成りすましを見抜くのは難しいため、悪用されている実態があります。そのため、木村勝昭容疑者が過去に転売をしていたとすれば、それらが犯罪に使われていた可能性は十分に考えられます」

 MVNOサービスの登場により、端末と通信事業者の組み合わせに幅が広がり、利用者にとってメリットは多い。一方で、犯罪の温床になっているという実態があるのも事実である。簡単に端末を盗むことが出来てしまう店舗のセキュリティー対策も、今一度見直しが必要なのかもしれない。

(文◎朝比奈ゆう)