【ATM不正引き出し事件】主犯格の元関東連合メンバーの行方

全国17都府県のコンビニエンスストアに設置されたATMから一斉に約18億円が不正に引き出された事件で、福岡県警は今月13日、主犯の一人と思われる「関東連合」(解散)の元メンバーで無職の斉藤祐輔容疑者(33=東京都世田谷区)を窃盗などの疑いで再逮捕したと発表した。

これは2016年5月15日午前6時半から8時頃にかけて、南アフリカのスタンダード銀行の顧客情報が入った偽造カードを使い、コンビニのATMから一斉に現金が引き出された事件である。この際、暴力団組員を含む「出し子」と呼ばれる現金の引き出し役の人間が大勢使われており、斉藤祐輔容疑者はそれらを取りまとめる役割をになっていた可能性があるとみられている。

この事件では、ほかに指定暴力団の住吉会本部(東京)、六代目山口組本部(神戸)、山口組の中核組織である弘道会本部(名古屋)など計5カ所が事件に関わったとみられており、先月26日には福岡、千葉など5県警により一斉に家宅捜査が行われていた。

なぜ、このように全国の指定暴力団が関わっていたのだろうか。本誌解説員でジャーナリストの竹村明氏は、次のように説明する。

「準暴力団にも指定された関東連合は2013年前後に壊滅したかのように思われていますが、実際には元メンバーが様々な組織に散らばっているのが現状です。そのネットワークは今も生きているために、今回の事件のように、広域的な犯罪が成立したと考えられます」

近年、改正暴力団対策法、暴力団排除条例が全国で施行され、暴力団が表立って動けなくなった時期から一気に勢力を拡大し、暴力団に変わる集団として台頭してきたのが関東連合である。その後は警視庁が徹底的に取り締まったことにより、表向きは解散したとされている。だが、その水面下に潜った残党が全国の暴力団を動かすほどに、今も闇で蠢いているという。

「関東連合は、六本木フラワー事件(2012年)で多くの主要メンバーが逮捕され、各事件の主犯格でありリーダーと思しき見立真一容疑者(39)が国際指名手配されたことによって、往時の勢いはまったくなくなりました。元々、ヤクザ社会特有の縦社会を嫌った彼らですが、実態は国際指名手配されている見立真一容疑者による縦社会であり、その後、暴力団に散らばっているのは皮肉と言えるでしょう」(前出・竹村氏)

決められた同時刻に、全国のATMから一斉に現金を引き出すという行為は、よほど綿密な計画性、統率力を持つ人間が指揮を執らないことには、成立させるのが難しい事件と言えるだろう。今回の事件で逮捕された斉藤祐輔容疑者は関東連合の元メンバーと言われているが、実際には住吉会系の暴力団とも密接な関係にあったと言われており、年代的にも関東連合の主要メンバーに較べて2〜3歳ほど若い。

これを受けて、2月21日には千葉県警が主犯格の1人として40代の関東連合元メンバーの男にも逮捕状を取って全国に指名手配しているが、こちらは現在も逮捕には至っていない。一説には海外に逃亡しており、そのその帰国を狙って逮捕するとの説もあるが、未だに逮捕されていないのは斉藤祐輔容疑者の逮捕を知り、自身にも捜査の手が届きかけていることから帰国するのを引き延ばし、まだ海外で潜伏しているのかもしれない。

いずれにせよ、事件の全容解明には、まだ時間がかかりそうである。

(文◎RNO編集部)