【金沢・横浜】2日連続〝生活保護〟をめぐる凶行…その原因を探る

高齢者世帯が増えたことなどの理由で、年々増加の一途を辿っているのが生活保護の受給者だ。そのため、今年の秋から、最大で13.7%ほどカットされる世帯も出てくるなど見直しが迫られている中で、その生活保護にからむ事件が発生した。

今月14日、石川・金沢市役所に務める環境局長の男性(58)、秘書課長の男性(52)、非常勤職員の男性(69)、臨時職員の女性(54)の4人が背中や脇腹を刺され緊急搬送された事件が起こった。逮捕されたのは、金沢市内に住む無職の高畑潤一容疑者(33)で、当初の報道では同市役所の市営住宅課を度々訪れていた際のトラブルと報じられたが、実際は生活保護の相談で市役所を訪れたことが原因なのだという。その市役所を訪れた際、役所の対応に不満を持って犯行に及んだと改めて発表された。

高畑潤一容疑者は14日の午後3時すぎ、金沢市役所内で、刃渡り10センチ以上の包丁1本を携帯していた銃刀法違反の現行犯で逮捕されている。今後は殺人未遂を視野に入れて捜査すると金沢中署は発表している。

その余韻も覚めやらぬ同15日の午前10時過ぎ、今度は神奈川県横浜市中区の中区役所で、「男が包丁を振り回している」という事件が発生。管内の加賀町署員が駆けつけたところ、中区役所市庁舎3階で、刃物を持った50代の男が職員によってすでに取り押さえられている状態で、男は銃刀法違反容疑で現行犯逮捕した。

逮捕されたのは住所不詳で無職の葛西茂功容疑者(50)で、市庁舎3階の生活支援課の窓口を訪れて職員が応対していたところ、突然立ち上がり、「殺すぞ」などと罵声を叫びながら刃物を取り出してカウンターを乗り越えようとしたという。葛西茂功容疑者は刃渡り19.7センチの刃物を振りかざし、取り押さえられる際、職員は手に軽いけがを負ったようだ。

葛西茂功容疑者は容疑を認めているという。

上記の2つの事件はいずれも生活保護をめぐる凶行のようだが、その生活保護は冒頭でも記した通り、今年の秋からの見直しが決まっており、受給額は推計で67%の世帯で減額になる。家計への影響を抑えるために、平成32年10月まで3回に行われて段階的に実施されるというが、この生活保護費見直しの裏側を、本誌解説員でジャーナリストの竹村明氏に聞いた。

「今までの生活保護には、非常にアンバランスな一面もありました。生活保護を受けていない低所得者よりも、生活保護の受給額が上回ってしまい、金銭的に恵まれていた家庭もあったのです。今回、特に見直される生活扶助費もそうですが、医療費全額免除という医療費扶助も見直すべきだと考えられています。社会保険では3割が自己負担ですが、生活保護受給者は病状にもよりますが、少額でも一部の負担を求めた方がいいのではという意見も出ています」

金沢市内の高畑潤一容疑者と横浜の葛西茂功容疑者が、どういった理由で犯行に及んだのかは、まだ明らかになっていない。しかし、いずれも無職で市営住宅課・生活支援課が襲われていることから、生活に切羽詰まった上で、生活保護がらみの犯行であることは間違いないだろう。

今秋の改正では、生活保護費にさらにメスが入れば、このような凶行は増えてくるのではないだろうか。引き続き、注視していく必要があるだろう。

(文◎RNO編集部)