【フィリピン発】離婚法成立間近……修復不能な夫婦関係に光が?

幸せの入り口ともなり、墓場ともなりうるのが結婚だ。だが、不幸にも結婚が墓場になってしまった場合、ほとんどの人は離婚という選択肢を選ぶのではないだろうか。

だが現在、この離婚というものを国の法律として認めていない国が世界で2つだけある。それが世界最小国のバチカンとフィリピンだ。これはキリスト教の聖書において、配偶者の淫行があった場合以外の離婚が認められておらず、特にカトリックにおいてはその教えを守ろうとする意識が強いからであると言われている。いわばカトリックの総本山であるバチカンはもとより、国民の8割以上がカトリック教徒であると言われているフィリピンでも、こうしたキリストの教えに従って、離婚を禁じているのである。

以前は同じくカトリック教徒の多いマルタも離婚を禁じていたが、2011年に離婚が合法化された。そして今、「フィリピンにおいても離婚を可能とするべきだ」という風潮が生まれつつあり、それが実現しようとしているという。

BBCが今月20日に伝えたところによると、フィリピンにおける離婚を許可する法案が下院を通過し、合法化に近づいたという。この法案は、訴訟を経て離婚した経験のあるドゥテルテ大統領の反対を受けながらも下院を通過した。今後、この法律が完全に制度化されるためには上院での審査も通過せねばならず、ドゥテルテ大統領もいまだこの法案に関する拒否権を発動できるという。

現在のフィリピンでは、結婚を合法的に終わらせる手段は、裁判所の判決によって結婚自体を無効にするという方法しか存在しない。裁判所によってその判決を得るためには、夫婦そろってのメンタルテストなどを受けて市アバンでその結果を証言するなど、多くの手間がかかる。その上、長引くものとなれば、判決を得るまでに10年以上を要する場合もあり、費用もかさんでしまうという。

こうした問題を解消する可能性のあるこの法案について、国会議員のエミ・デ・ヘススは、「政府が修復不可能な結婚を解決する手段をもたらす必要がある、虐待関係に囚われた女性たちの声によってこの法案が提出された」と述べ、法案が通ったことを歓迎した。だが、ドゥテルテ大統領はスポークスマンを通じて、「この法案が成立した場合、離婚した夫婦の子供たちが問題に直面する恐れがあるのではないか」というコメントを発表し、いまだ反対の立場であることを表明している。

宗教における倫理観は当然、尊重されるべきものではある。しかし、実際の結婚生活の上で、修復しようのない問題が発生しうるというのも現実だろう。その時に、離婚という選択肢のハードルが高いことは、おそらく双方にとってデメリットしかもたらさないのではないか。

他の国のことながら、この法案が成立を迎えることを切に願ってやまない。

(文◎コリス東条)