「任侠山口組」が【23団体目の指定組織】に認定された理由とは?

兵庫県公安委員会は今月22日、指定暴力団神戸山口組(兵庫県淡路市)から昨年4月に分裂した任侠山口組(兵庫県尼崎市)について、暴力団対策法に基づく指定暴力団に認定したと官報で公示した。指定の効力は3年間で、これによって全国の指定暴力団は23団体となった。

22日付の官報

 

指定暴力団とは暴力団対策法第3条に基づき、以下の3つの要件を満たしていることで都道府県公安委員会が指定する。その要項をまとめてみる。

①暴力団がその暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成または事業の遂行のための資金稼ぎを行いやすくしている団体であること。

②その暴力団の幹部または所属全暴力団員のうちに、麻薬犯罪や傷害罪など、暴力団特有の犯罪の前科を有するものが一定の割合以上いること。

③その暴力団を代表する者またはその運営を支配する地位にある者の統制の下に階層的に構成されている団体であること。

さらに、指定暴力団の中でも「特に凶悪と見なされる組織」として「銃撃や火炎瓶を投げ込むなどの危険行為を繰り返す恐れのある組織」を〝特定危険指定暴力団〟、「抗争で住民の生命や身体に危険が及ぶ恐れがある組織」を〝特定抗争指定暴力団〟と指定・定義している。

〝特定抗争指定暴力団〟には2012年12月27日に五代目工藤會(福岡県北九州市)が指定されている。〝特定抗争指定暴力団〟には過去、道仁会(福岡県久留米市)と九州誠道会(現浪川会・福岡県大牟田市)が抗争を行った際、両団体が指定されたが、14年6月27日に解除された。現在は、六代目山口組(兵庫県神戸市)と神戸山口組について、特定抗争指定暴力団への指定が検討されているが、新たに任侠山口組も指定されるか検討に値するであろう。

では、指定暴力団とされると、どのような問題が出てくるのか? 暴力団問題に詳しいジャーナリストの花田庚彦氏に聞いた。

「まず、様々な問題によって、即時に逮捕されるようになります。事件や抗争が起こった場合、まずは中止命令が出されますが、その命令に従わない場合は逮捕・摘発できるのです。対立抗争では事務所の使用制限も可能になります。そのほかの項目は細かく27行為に分かれていて、それらで補えない項目は各都道府県、その他地域によっては各区、市町村で制定された暴力団排除条例(以下、暴排条例)によって細かく規制されています。例えば東京都では、当該者が金融機関からの融資を受けたり当座預金の開設ができなくなったり、住宅の賃貸契約もできなくなっています」

暴排条例とは、04年6月、広島県と広島市が条例で公営住宅の入居資格について「本人とその同居親族が暴力団対策法に規定する暴力団員でないこと」と規定したから始まり、11年10月に東京都・沖縄県で条例が施行され、これによって全都道府県で施行されていた。しかし、これら条例には人権問題も絡むため、実際には問題視もされているのである。

15年8月、国内最大の指定暴力団である山口組から神戸山口組が離脱した際、兵庫県公安委員会は翌16年4月に兵庫県公安委が指定暴力団としていた。さらに、その翌年の17年4月、神戸山口組から一部組員が離脱して、任侠山口組を立ち上げ、3つに分かれた山口組に対して抗争の懸念が高まっていた。

本誌解説員でジャーナリストの竹村明氏は次のように語った。

「神戸山口組から任侠山口組が分裂したことはメディアなどでも報じられたように〝公然の事実〟でした。しかし警察庁を始め捜査当局は、分裂とは断定せずに内部抗争と位置付けていたのです。その後、神戸山口組から分裂した任侠山口組も指定を避けるためか、本部を設けず横の繋がりを当初は協調していましたが、今回指定団体と認定されました。捜査当局が内部抗争と位置付けていたのは、分裂したことによって指定団体以外の組織となり、取り締まりに差が生まれることにありました。そのために違う組織として認めず、同一組織の内部分裂とし、指定団体認定までの空白の期間を空けなかったのです」

史上最悪の抗争と言われた山口組と一和会の「山一抗争」(1984〜89年)の時にように、組員の引き抜きや移籍も相次ぎ、死傷者こそ比較すると少ないが、それに伴った小競り合いは起こっている。昨年9月12日には神戸市長田区の路上で、任侠山口組・織田絆誠代表らが神戸山口組系組員によって襲撃され、織田代表のボディガード役が射殺されるという事件が発生し、世間に衝撃を与えた。さらに今後、より大きな事件がいつどこで起こってもおかしくない状況だった。

兵庫県警によると、任侠山口組の構成員は2月1日時点で16都道府県に約460人と発表されている。今回の指定暴力団認定により、一般市民が安心して生活できるようになるのだろうか。

(文◎RNO編集部)