【インド発】上位階級の男が最下位階級の男を殺害した驚きの理由…

当サイト「リアル・ニュース・オンライン」では、インドで起こった「魔女狩り」の実態を掲載(2月21日)。そこで、現地に浸透しているカースト制度に基づいた人種差別が横行している実態を報じたが、こうしたインドでの人種差別による殺人は、いまだに後を絶たないのが現状だ。そして今回、再びそうしたカースト制における差別が要因で悲劇が起こり、世界的な注目を集めているという。

BBCが3月31日に報じたところによると、インド西部のグジャラート州で同月2日、カースト制の最下層である「ダリット」に属する男性が、馬に乗ったのを理由として殺される事件が発生したという。殺されたのはプラディープ・ラシッドという男性で、同州チンビ村近くで大流血した状態で殺されているのが発見されたという。この事件では、3人の「クシャトリア」というカースト制における上層階級の男たちが犯行を疑われ、拘留されている。

 

被害者ラシッドの父親によれば、「事件の1週間前、息子と馬に乗っていると、クシャトリアに属する男が馬によって現れ、今後馬に乗らないように警告をしてきた」「彼は『ダリットの人間は馬によることはできない。クシャトリアだけが馬に乗ることができる。今後馬を売らなければお前たちを殺す』と脅してきた」とAFPの取材に対して語っている。ラシッドの父により警察に出された訴状では、息子は馬を愛しており、それが殺人に繋がったと記述されているという。

警察は、まだこの馬の所有にまつわる一件だけでなく、他の動機がある可能性があると発表している。しかし、インドにおいて馬を所有することは、富と権力の象徴とみなされており、被差別階級であるダリットがこうした行為に及んだことが、上層階級の人間たちの反発を買ったと見られているのである。昨年10月には、同じくグジャラート州で、ダリットの男性がヒンドゥー教の祭典に出席したことを原因として殺害されるという事態が起きており、法律によって差別が禁止された今でも、こうした差別は現在もありありと続いているのが現状のようだ。

この件について、ネット上の外国人たちは「21世紀においても、人間は野蛮で差別的な習慣に縛られている」「恥ずべきことだ」「カースト制による差別ががインド政府によって禁止されてから30~40年が経つ。法律によってこうした偏見を消すことはできない」と、いまだにこうした差別が横行するインドの実情に衝撃を受ける声が多い。中には「インドは今1518年を生きている」と皮肉る声も見受けられる。これだけ差別に敏感になっている世の中において、発展し大国となりつつあるインドの中にこうした前時代的な差別が存在していることに、驚きや怒りを覚えた人が多いということなのだろう。

ポリティカル・コレクトネスと呼ばれる政治的・社会に中立な発言がいわば強要されつつある先進国の社会は、それはそれで息苦しいものだ。一説によれば、暴言を繰り返すドナルド・トランプがアメリカの大統領に当選したのも、こうしたポリコレへの反発が一端を担っていたとも言われている。しかし、今回起きた事件など、差別が生む悲劇の事例を見るにつけ、成熟した社会のありがたみというものを感じるのもまた事実だろう。インドがこうした現状を脱する日はいつ訪れるのか。今後に注目したい。

(文◎コリス東条)