「新たに酒を入手してくる」それだけで脱走できたコロンビア監獄事情

現在、南米においては刑務所に関する問題が噴出している。以前、当サイトでもお伝えしたように、1月にはブラジルの刑務所で暴動が起こり、100人以上が脱走、少なくとも9人が死亡する事件が発生(1月1日)。また、先月発生したベネズエラの刑務所では火災が起こり、数十人が死亡。同じく先月、ボリビアの刑務所で暴動が起き、突入した警察との間で収容者7人が殺害…。このように、いま世界ではまさに、刑務所にまつわる事件のバーゲンセールとも言うべき非常事態に陥っている。そんな中、同じ南米のコロンビアで起こった、とある囚人の脱走劇が注目を集めているという。

BBCが2日に報道したところによると、先月の31日にコロンビアの首都ボゴタにあるラ・ピコタ刑務所から2人の囚人が脱走したという。この2人の男は、誘拐の罪で懲役40年を宣告されていたテロ組織「コロンビア革命軍」のメンバーであるジョン・グティエレス・リンコンと、元コロンビア革命軍に所属し、盗難の罪で判決待ちの状態であったオルメロ・バルガスとされている。

このリンコンとバルガスは看守の男に、刑務所内で作った密造酒を振舞って酩酊させ、アルコールをもっと買いに行くと刑務所内から出て行ったという。当然、彼らが刑務所内に戻ることはなく、現在行方を追っているという。

刑務所当局は、門をはじめとした刑務所のどこにも破壊した跡などが見つかっていないことや、他の関係者によって2人の男と看守の3人で酒を飲んでおり、逃げた2人が「新たに酒を入手してくる」と約束するところを目撃していたという証言から、看守が彼らの脱出を手助けしたことは間違いないとみているという。

ラ・ピコタ刑務所の責任者であるコル・ゲルマン・リカウルテは、現地のラジオ局のインタビューに対し、以下のように答えている。

「一人の男が、プロフェッショナルとしての自覚、倫理観の欠如から、セキュリティーの協定を破っていたようだ。このことが脱獄を容易にしていしまった。この職員の酒を飲んでしまったという弱さが、2人の男たちが彼を騙して脱獄することにアドバンテージを与えてしまった」

この件について、ネット上の外国人たちの間では、「あまりにも馬鹿らしいニュースだ」「なんというカオスだ」と、あまりにも倫理観のない看守のミスについて呆れる声が多く見られる。中には「これは映画のいい元ネタになるな」「ビール好きにとっての悲劇だな」などと冗談めかして言う声もあるが、もはや笑える話と化しているこのニュースに対して、唖然としてしまっている人が多いという事だろうか。

密造酒が蔓延り、看守が囚人を信じて酒を買わせに脱獄を許してしまう…。日本の常識に照らし合わせれば、全く考えられない事態ではある。とはいえ、暴動やギャングの争いなどで死人が続出するなど、苛烈な一面ばかりが報じられている南米の刑務所において、こうした〝ユルい〟部分があることも、また一つの真実なのだろう。

(文◎コリス東条)