【カナダ発】不妊治療に自身の精子を使った〝狂気の医師〟の目的は?

高齢化、人口減少の根源的な問題として、日本において大問題となっている少子化。しかし、これは何も日本に限った話ではない。ヨーロッパのロシアやイタリア、さらには同じアジアの中国などでも問題となっており、数々の国の共通した悩みとなっているようだ。

世界的に少子化が進行する中で、各国で力を入れているのが不妊治療だ。日本においても、不妊治療が医療費控除の対象であり、さらに各自治体などにおいて助成金を出すなど、少子化対策の一端として力を入れていることは広く知られている。だが、北米のカナダではそんな不妊治療の現場で、言語道断の犯罪が起こり、注目を集めているという。

BBCが6日に報じたところによると、カナダの不妊治療に携わる医師が、不妊治療に自分の精子を使ったとして、数十人から訴訟を起こされているという。この医師はノーマン・バーウィンという人物で、昨年11月に彼の治療を受けていた元患者のディクソン夫妻が、夫妻の目の色が青色であるにもかかわらず、茶色の目を持っていた娘のレベッカとともにDNA検査をしたところ、バーウィン医師が父親であるという事実が発覚。夫妻は、バーウィン医師をはじめとした関係者に対して訴訟を起こしていた。さらに、本来の父親ではないDNAを持った元患者およそ50人が、集団訴訟を起こしたという。

原告団の弁護士によれば、少なくとも11人の子供が生物学上、バーウィン医師が父親であると主張している。この請求は、古いものでは1970年代に遡り、バーウィン医師がかつて所属していたブロードビュー生殖医療クリニックと、オタワ総合病院の患者が含まれているという。これ以外にも、父親とのDNAが一致しないという子どもが16人もいるとされており、さらに匿名のドナーによる精子の提供を受けた35人の子供が、そのドナーとの生物学的な父親関係がない可能性が浮上。まさに現地の不妊治療における一大スキャンダルへと発展しているのだ。

この件に関して、バーウィン側の法的代理人はまだコメントを発表していないという。バーウィン医師は2013年にも3人の患者に対して本来のものではない精子を人工授精に用いたとして、処罰を受けていたという。

この前代未聞の不祥事に関して、ネット上の外国人たちは「この医者は心理的な問題を抱えているとしか思えない」「多くの父親になることに満足感を抱いていたのだろう。世話もせずに…厳しい罰が必要だ」と、この医師に対する怒りを露にする声が多い。一方で、「医師も両親も、すべてがエゴだ」と語る声や、「家族はショックだろうが、それでも両親が本物の両親だろう」と、生物学的な問題ではなく、育てた両親が真の親であるとする声なども見られる。

果たして、この〝狂気の医師〟は、どういった目的でこのような前代未聞の処置を行っていたのか。それはこれからの裁判の中で明らかになっていくのだろうが、こうしたニュースを見るにつけ、一般市民の人工授精をはじめとした不妊治療への不安が煽られることも確かだろう。

医師を信じるしかない患者たちを裏切るようなこの暴挙が、二度と行われないことを切に願うばかりである。

(文◎コリス東条)