【感染者75万人超】自販機に検査キット設置、中国のエイズ対策の効果

15年で150%増

昨年の11月末に国立感染症研究所が44年ぶりに感染者の数が4,000人を超えたと発表するなど、日本では現在、「梅毒」の再流行が大きな問題となっている。だが現在、性行為で感染する病気の中で、一番恐れられているのはHIVウイルスによる「後天性免疫不全症候群」、いわゆる「エイズ」であろう。

感染者の血液などを媒介としてこのウイルスに感染した場合、体の免疫機能が不全を起こし、様々な病気に派生して死亡に至る。現在においても、いくつかの例外が報告されているだけで完治する方法はなく、治療薬の発展によってエイズの症状を生涯にわたって抑えうることはできるようになったものの、一生付き合っていかねばならない難病であることに変わりはない。そんなエイズに関して、中国で行われたとある試みが話題を呼んでいるという。

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ABCが14日に報道したところによると、中国・上海にある3つの大学が、チップスやインスタントラーメン、ジュースなどを販売していた自動販売機にHIVの検査キットを加えて置くようになったという。中国では国内のHIV感染者が現在約75万8,000人に達するなど爆発的に増えており、過去15年間で新たな感染者とされた15〜19歳の数は、150%以上も増加しているという。そのため、HIV感染者の増加率を抑制するために、こうした試みが始まったと言われている。

誰にも知られず結果の確認が可能

このプロジェクトでは、同性愛とエイズがタブー視されている中国の状況を鑑みて、匿名で検査をすることができるようなシステムを構築している。キットに尿を入れ、自動販売機の横にある回収箱に入れることで検査ができ、キットに付属しているシリアルナンバーから、オンラインで結果を確認することができるという。また、検査キット自体はおよそ300元(日本円で約5,130円)と高価だが、オンラインで結果を確認することで30元の払い戻しが行われるという。ただし、このキットについて中国の性病とHIV・エイズ予防管理協会は、ウェブサイト上でこの検査キットによって導き出される結果はあくまでも予備のスクリーニングであり、偽陽性の結果が出る可能性もあると声明を出している。

この件について、ネット上の外国人たちは「これはとても便利だ。こうした行動が実際に効果をもたらすことはポルトガルの注射器交換プログラム(※ポルトガルではHIV対策として、薬物使用者への刑罰をなくし、新たな注射器を配布するなどの対策が取られている)などでも知られている」「恥ずかしいと感じる病気のための自己検査が行きつくべき方法だ」と、この方法を採用したことへの賛辞の声が多い。中には「検査キットよりも、まずコンドームを置くべきでは?」「陽性と判定された人々が労働収容所などに入れられないといいがな」というようなコメントも見られるが、この試みがHIVの増加を防ぐ有効な手段だと考える人が多いようだ。

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やはり年齢的にもやりたい盛りである大学生たちに、こうした形で警鐘を鳴らすことに一定の効果があるように思える。日本においても、HIVウイルスは毎年1,000人を超える新たな感染者が生まれており、2万7,000人程度の患者数があると言われている現状を鑑みれば、この中国のように、何かしら新しい対策を考え出すことが必要だと言えるだろう。

(文◎コリス東条)