救急隊員は水分補給NG?増殖する〝モンスタークレーマー〟の異常性

新年早々、大阪市役所に対して市民が訴えたクレームが異常だと話題となっている。

大阪市は公式ホームページ上で『市民の声』として、市政への意見、要望を受け付けている。それに対して必要があれば『市の考え方』として回答をし、それらを全てホームページ上に公表しているのだ。

今回話題となったのは、今月1日の元旦に公表された、ある『市民の声』である。以下に同市HPより引用する。

 

<市民の声(受付日:2017年11月13日)>

「11月13日午前6時50分くらいに浪速区内の病院に大阪市の救急車で来られた隊員の男性三名の方が病院に搬送後、数メートル離れた自販機で飲み物を三名とも購入されていました。これまでに幾度となく様々な救急隊員の方を見かけましたが、このような行動をされているのをはじめて見ました。その後、救急車の中でその飲み物を飲まれているようでなかなか出車せずでした。勤務中にこのような行動はありなのでしょうか? 教えてください。」(原文ママ)

 

一方、この『市民の声』に対して、大阪市が回答した『市の考え方』の内容は以下の通りである。

 

<市の考え方(回答日:2017年11月24日)>

「本事案に出場した救急隊員から聞き取りを行いましたところ、救急車内での血液付着が多く、その拭取りと消毒に労力と時間を要したとのことであり、そのような活動を勘案した場合、次の出場に備え水分補給を行う必要があったと考えます。当局では、必要に応じ活動中の水分補給を適宜行うよう周知しているところであり、今回の場合、飲料水の購入はやむを得なかったものと考えます。救急隊は、連続出場や長時間にわたり活動する場合もございますので、ご理解を賜りますよう、よろしくお願いいたします。」(原文ママ)

 

これに対してネット上では、「クレーマーおかしすぎ」「水分補給もしちゃいけないのか」「昔の運動部みたいだな」「どこに問題があるのかわからない」「むしろ差し入れくらいしろ」「搬送中とかなら大問題だろうが、搬送後なら別に問題ないだろ」など、『市民の声』に対して多くの非難の声が寄せられているよである。対する『市の考え方』に関しては、「回答がまともでほっとしたわ」「こんなクズみたいな質問に回答しないといけないとは市も大変だね」「大阪市の対応が実に真っ当で安心した」「抗議は馬鹿げてるんだけど、当局が変な謝罪や自粛をせず〝休憩は正当〟と表明している事は評価する」など、大阪市の対応を評価する声が多く上がっていた。

ネットの声にもあるように、救急隊員の行動のどこがどう問題なのかが書かれていないため、この意見を出した市民が何を危惧しているのか明らかではない。もしかしたら、そこに明確な理由などなく、漠然と「勤務中に飲み物を購入したこと」へ嫌悪感を持っただけのかもしれない。仮にそうなのであれば、本質的にはまさに「体育の時間中に水を飲んではいけない」といったかつての根性論と何も変わらない。

この一件を、市政に詳しいライターは「ただのクレーム」と断じる。

「消防隊員も救急隊員も、基本的に勤務は泊まり込みです。消防隊員であれば、火災が発生しない限り深夜は仮眠も取れますが、救急隊員は現状、出動の頻度が多く、仮眠もままならないのが実情です。また、一度出動をすると長時間休憩が取れないことも多く、連続出動が強いられる場面もあります。消防隊も救急隊も入電した瞬間に行動し始め、移動しながら情報交換を行う為、『ちょっと飲み物を飲んでから行こう』は出来ないのです。そのため、必要な時に最大のパフォーマンスを発揮するためにも、飲料補給や休憩は出来る時に行うことが必要で、今回の水分補給はまさに仕事の一環と言っていいでしょう」

誰が聞いてもおかしな文句や理不尽な要求を突きつける「モンスター・クレーマー」は数多い。ネット上で、こうした根性論に似た考え方が非難される時代になっているところをみると、やはり時代は変わってきていると感じる一件である。

(文◎朝比奈ゆう)