当選確率は1万分の1?プロでも景品を取れないクレーンゲーム機の闇

2017年12月25日までに、大阪府警はクレーンゲーム機を景品が取れない設定にして客から現金をだまし取ったとして、大阪市のゲームセンター運営会社「アミューズメントトラスト」の社長・大平剛史(おおだいらたけし)容疑者(33)ら6人と、社長の補佐役で従業員の指導をしていた佃明典容疑者(30)の計7人を詐欺容疑で逮捕、送検した。

大阪府保安課によると、ゲームセンターの景品を巡る詐欺事件の摘発は〝全国で初めて〟だという。

大平容疑者らは、昨年12月1日から9日にかけて、社員と共謀して、大阪市中央区道頓堀と同市浪速区難波のゲームセンターにあるクレーンゲーム機を、景品が取れないように調整。その上で、20代の女性客ら計4人に「絶対に(景品が)取れる。今やめたらもったいない」と噓を言い、約47万円を騙しとった疑いが持たれている。容疑者らは当初、ぬいぐるみなどを景品として無料でゲームをさせた上で1回500円から挑戦させると、さらに違うクレーンゲーム機に誘導したり、より高価なゲーム機やタブレット端末を景品に加えたりしながら、最終的に1回のプレイ料金を1万円までつり上げていたという。この結果、15年以降「景品が取れない」と大阪府警に30人以上から相談が寄せられていた。被害額は約600万円に上るという。

調べに対して大平容疑者は、「不正を指示したことはない」と容疑を否認。ところが佃容疑者は、「トラブルになりにくいよう、すぐに地元に帰る旅行者を狙ってやっていた」と容疑を認めており、残り5人も容疑を認めているという。

このニュースを受けてネット上では、ある動画が拡散されるようになった。それは、あるYouTuberの投稿動画である。今回の事件の舞台となったゲームセンターは、以前より〝ぼったくり〟の噂が絶えない店舗であった。そのYouTuberは真実を突き止めるべく、逮捕前に同店舗に潜入し、動画を撮影していたのである。その動画には、店員の怪しい行動が記録されているのであった。店員がデモンストレーションとしてクレーンゲームをやってみせてくれる場合は必ず成功できるものの、YouTuberが実際にやってみると、何度やっても成功しない。そのからくりは、店員の〝不可解な動き〟にあった。店員がYouTuberと交代する際には、必ずウィンドウを開けてクレーンの裏のスイッチのようなものをこっそり押して〝操作〟していたのである。

実は、ゲームセンターにあるゲーム機には、成功する確率をコントロールできる「確率機」と呼ばれる機種が多く存在している。それらは、投入金額が設定金額に到達するまで景品が取れない設定に出来たり、成功率を「0(ゼロ)」や「0.01%」などの設定に出来るという。つまり、クレーン操作の上手い下手や運は関係なく、機械の設定上で景品が取れないようにできるデジタル制御の機械が存在するのである。

現在、関西地区で複数のゲームセンターで経営する(40代・男性)に話を聞いてみた。

「〝確率機〟は、ほとんどのゲームセンターで使われています。例えば、ぬいぐるみを3本のアームで掴むゲームでは、持ち上げる時の握力と持ち上げた後の握力を変動させることで、基本的に落下するようになっています。取得確率は、0.01%にしていることが多いです。つまり100回に1回は、その握力を変動させないことで成功できる設定です。ただし、あまりにも当たらなすぎると店の評判も悪くなるので、休日など客の多い時には取得確率を上げたりし、その様子を撮影したインスタント写真を掲示するなどして、〝誰でも取れる〟印象を付けるということもやっています。ただ、今回の事件については、明らかにやりすぎ、悪質だと思いますけど」

また、事件の舞台となったゲームセンターでは、タブレットや高価なゲーム機を景品とすることで、客を誘導させていた。現在、警察の指導では、景品の上限は800円と決められているが、あくまで指導にとどまっており、罰則などは存在しないのが現状だという。

今回の事件により明かされた、意外と知られていないクレーンゲームの実態。あまりにも当たらないゲーム機があれば、それは〝確率機〟と疑ってみた方がいいのかもしれない。(文◎朝比奈ゆう)