【大宮風俗店ビル火災】ソープランド立て替えを阻む〝法規制〟の闇

今月17日、埼玉県さいたま市大宮区のソープランドで火災が発生。4人が死亡、8人が負傷する大騒ぎが起きた。

火が上がったのは同日午後2時ごろ。JR大宮駅から北に500メートルほど歩いた場所にある人気ソープランド「素人系いちゃいちゃSOAP Kawaii」から「煙が充満して逃げられない」などと119番通報が相次いだ。火災が起きた建物は、鉄筋コンクリートの地上3階建てで、延べ170平方メートル。ビルは2階と3階の南側が激しく燃え、2階にあるゴミやたばこの吸い殻を捨てる場所が火元とみられている。

さいたま市消防局によると、このビルの北側には客用の出入り口、南側には非常用出入り口があり、ともに屋内の階段で1階へと繋がっていたという。

また、埼玉県警は、客とみられる40~50代の男性1人と、風俗店の従業員女性2人、性別不明の1人、計4人が死亡したと発表。別の女性1人が意識不明の重体、他に7人が軽い怪我をし、3階建てのビルは全焼した。

同店は、若くて経験が浅く、かわいい女性が多く在籍する事で知られる格安人気店だった。しかし、利用したことのある客によって、「建物が古く、部屋や階段は周囲の風俗店に比べて狭かった」と報告されており、それを受けてか昨年6月には消防局が立ち入り検査を行い、消防設備には問題はなかったが、避難経路の改善を指導していた。その後は、是正されたというが、残念ながら今回の大騒動となってしまったようだ。

今回の火災について、風俗事情に詳しい竹村明氏によれば、ある法規制が背景に見え隠れしていると指摘する。

「現在、ソープランドは、新風営法により営業許可申請が認められていません。つまり同法が施行されて以降は、それより前からあった店を継続することは出来ますが、新規ではもう開店出来ないのです。問題は、老朽化により建て替えを行おうとした場合、今まで許可を取って営業していた店でも、営業許可申請が必要になってくることです。しかし、先に述べたように今はもう営業許可申請は認められないので、ソープランドは建て替えが出来ず、老朽化が進んでいるのです」

規制の強化により店舗数は減少しているものも、ソープランドは「トルコ風呂」という名称だった頃も含めると、昭和30年頃から普及しているかなり古い風俗形態である。しかし、上記の背景から、改修工事は可能なものの、建て替えが出来ないため、老朽化が年々進む一方だという。

「その上、〝名義人不在〟という問題もあります。一般的には、オーナーがいて、別の人間を店長、つまり社長に置いて、その社長が名義人になります。しかし、風俗店というのは摘発のリスクがあるため、名義人はオーナーではなく、代理の人間を立てるケースが多いのです。ところが、その名義人が気付いた時には病死をしていたり、何らかの事情で行方不明になったりしているケースも多い。そのため、もともとあった店舗を借りて、それを改修して新規店としてオープンする方法もあるのですが、名義人が不在なため、同じ場所でそのまま継続するしかない場合のが現状です」(竹村氏)

風俗店火災といえば、2001年に新宿・歌舞伎町で風俗店を含むビルが火災に巻き込まれ、44名が死亡するという事件があった。今回の火災では、そこまでの被害者は出なかったものの、その時の教訓が充分に生かされていなかったことになる。

人身売買や買春などの観点から時代の流れとともに法規制が厳しくなる風俗店。今回の火災は、こうした〝法律の犠牲者〟とも言えるようである。

(文◎朝比奈ゆう)