【現職警官ら書類送検】〝単純所持〟でも逮捕される児童ポルノ裏事情

今年5月に摘発された児童ポルノDVD販売会社の購入者リストに、警視庁や栃木など少なくとも4都県警の現職警察官が含まれていることがわかり、話題となっている。

捜査関係者によると、警視庁はこの件で、すでに同庁の警部補と巡査、一般職員の3人を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)の疑いで今月初めまでに書類送検。いずれも容疑を認め、依頼退職しているという。

また、皇居の警備や皇族の警護にあたる皇宮警察本部の護衛官も、同法違反の疑いで書類送検されたという。

ほかに、購入者リストに名前のあった高知県警の男性巡査長は、今月7日に書類送検されており、本部長訓戒処分となった上で退職した。この巡査長は、昨年6月から今年5月までの間に、自宅で児童ポルノのわいせつ画像が記録されたDVD5枚を購入。「性的好奇心を満たすためだった」と話しているという。

同じく裸の女児が映ったDVDを購入した栃木県警の40代男性警部補は、事情聴取や家宅捜索を行ったところ、昨年夏ごろから購入していた履歴が残っていたことが判明している。この警部補は、購入を認めたものの、一部のDVDはすでに廃棄されており、同県警は裏付け捜査を進めるとともに、年明けにも児童買春・児童ポルノ禁止法違反(単純所持)で書類送検するとみられている。

実は2015年7月以降、児童ポルノ法が改正され、〝単純所持〟でも罰則が適用されるようになっている。それまで、児童ポルノの〝所持〟だけで罪に問われることはなく、他人に提供・販売するなどといった目的とすることで刑罰の対象となっていた。しかし、法改正以降は、誰にも渡したり売ったりする気がなく、またインターネット上にアップロードして他人に閲覧させるつもりはなくとも、罰則の対象になっている。法改正以前に入手したものであっても、罰則の対象となるという。

おさらいしておくと、〝児童〟とは18歳未満の者を意味し、女児のみならず男児も含まれ、しかも自分の子供や孫も含まれる。しかし、児童は存在する人物でなければならず、マンガや絵画、アニメーションなどを用いて架空の人物を創作した場合であれば、該当しない。

ここでいう〝児童ポルノ〟とは、以下のように定義されている。

  • 児童を相手方とし、又は児童同士の性行や手淫・口淫など性行に類似した行為
  • 他人が児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、逆に児童が他人の性器等を触る行為で、性欲を興奮させ又は刺激するもの
  • 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態で、殊更にその性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部)が露出又は強調されており、性欲を興奮させ又は刺激するもの

ここで重要なのは、刑法が対象とする「わいせつ」とは概念が異なるため、〝性器〟が撮影されていなくても対象となる点である。

今回の一連の取り締まりについて、犯罪ジャーナリストの竹村明氏は次のように話す。

「最近の警察の薬物捜査は、まず密売人を捕まえ、そのログを押収。そこから客を一人一人捕まえていくというやり方をすることが多いです。しかし、スマホやパソコンを使い、メールやラインなどで手軽に取引ができる一方で、デジタルデータとして購入履歴が残ってしまいます。その手法を、児童ポルノの取り締まりにも用いたと言えるでしょう。まずは販売業者を摘発し、その販売リストから児童ポルノに該当する商品を購入した客を抽出し家宅捜索令状を取る。たいがいの人は、DVDそのものは残していなくても、デジタルデータとしてハードディスクなどに保存していることが多い。それが一枚でも見つかれば、単純所持が成立してしまうのです。警察は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、路面店だけでなくネットも含め、児童ポルノの取り締まりを強化しているのです」

今回、摘発された児童ポルノDVD販売会社からは、およそ7000人が児童のわいせつ物を購入していたという。〝単純所持〟でも罰せられるので、みなさんご注意を。

(文◎朝比奈ゆう)