【闇ビジネス?】きっかけは火災報知器 都内「大麻栽培工場」を摘発

警視庁大塚署は今月17日、東京都文京区のマンションで大麻草を栽培していたとして、大麻取締法違反(営利目的栽培、営利目的所持)の疑いで東京都豊島区上池袋の職業不詳、井上雄一郎容疑者(41)を逮捕した。

大塚警察署によると、2017年4月13日に井上容疑者が本人名義で借りていた文京区音羽のマンションの一室で火災報知機が作動し近隣住民が通報。これを受けて駆けつけた警察官がベランダの窓から室内に入ったたところ、部屋の中から大麻草や栽培する植木鉢などが発見されたという。

井上容疑者は販売目的で乾燥大麻約2550㌘を所持していた上、大麻草73本(乾燥大麻950㌘相当)を栽培した疑いが持たれている。井上容疑者は取り調べに対し、「全て自分でやった」として、容疑を認めてる。

警視庁は、大麻の販売先や共犯者がいないかなど調べる方針だというが、驚いたことに、この室内には生活していた痕跡がなく、肥料や保管用の容器などがあったという。つまり、井上雄一郎容疑者はこの部屋を「大麻の栽培工場」として使用するために借りていたのではないかとみて捜査を進めているというのである。

多くの人が生活する都内のマンションが大麻工場になっていたなど、にわかには想像も及ばないが、薬物犯罪事情に詳しいジャーナリストの竹村明氏によると、「珍しい話ではありません」と言い切る。

「近年、大麻の栽培は、暴力団だけでなく一般人の手っ取り早い金儲けの手段となっています。インターネットの普及で、栽培方法や栽培キット、高品質な種子といった、栽培に必要な情報とアイテムが誰でも容易に入手できるようになりました。密売ルートさえあれば、利益率の高い〝闇ビジネス〟という側面もあるため、都内で部屋を借りて大麻工場としている例は多いのです」

 

大麻栽培は、一度、種子を購入してしまえば、大麻草は花を咲かせて種子を残すため、これを循環させて闇ビジネスとする一般人が手を染めるケースも少なくないというのである。ただし、いくつもの注意点があり、失敗するものも後を絶たないという。前出の竹村明氏の話を続けよう。

「大麻は開花植物のため、自然界では秋にしか収穫できません。そのため、量産するためには光周期の調整が必要であり、最低でも12時間以上の太陽光や同等の光を受光させる必要があるとされています。ベランダなどで栽培すると、第三者に発見されるリスクもあり、なによりも1年に1回しか栽培できません。そのため、近年は室内栽培という手法が人気となっています。太陽光の代わりに照明を使うことで、大麻の生長をコントロールするのです。最近はLEDライトも普及しつつありますが、まだまだ高価なため、〝HIDライト〟(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプの総称)が用いられることが多いです。HIDライトは太陽光に近く、高光量であり、寿命も長い。このことから、大麻栽培には有効だとされていますが、発熱量が高いという特徴もあります。きっと、今回の事件は火災報知器が反応して発覚したようですが、この照明が影響したのではないかと考えられます。このほかにも、電気代や水道代が極端に増えるため、ここから怪しまれて発覚するケースも少なくありません」

 

一見すると、簡単に栽培できて高収益を期待できてしまうようにも見える大麻栽培だが、調べを進めていくと一筋縄ではいかない実態があることが分かる。

そもそも、日本での大麻の栽培は、伝統工芸や産業利用など一部の用途にしか認められておらず、都道府県知事が許可する大麻取扱者免許が必要である。それを所持しない者が栽培した場合、大麻取締法で罰せられるのだから、決して安易に手を出してはならないシロモノであることは間違いない。

 

(文◎四菱 紘淳)