【最悪の国】ジャーナリスト100人以上失踪 メキシコでまた銃撃殺

ジャーナリストという職業は、世間に様々な真実を伝えることを職務としている。もちろん、その真実が誰かにとって都合の悪いものであるという事は往々にしてあるため、その対象となる個人、集団から訴訟などのアクションを起こされたり、場合によって命の危険に晒されるというリスクは、職業上避けて通れないものとなっている。そんなジャーナリストにとって、〝最悪の国〟ともいえる地で凄惨な事件が起こり、世界的な注目を集めている。

BBCが20日に報道したところによると、メキシコのベラクルス州アカユカンで、ジャーナリストのグマロ・ペレス・アギランド氏が、息子が通う小学校のクリスマスパーティーに参加しているところを銃撃され、殺害された。周りには小学校の他の子どもや親たちが数十人いる中での凶行だったとされている。アギランド氏は、「La Voz del Sur」というニュースサイトの創設者で、犯罪の報道などにリスクが伴うことから、州の保護を受けていた。

実は、メキシコという国は、ジャーナリストにとって「最悪の国の一つ」としてよく知られており、同じくBBCが7月に報道したところによれば、2000年から今までで、少なくとも106人以上のジャーナリストが消息を絶った、あるいは殺害されているという。報道の自由団体の声明によれば、中でも事件があったベラクルス州は、今年に入ってから少なくとも10人以上のジャーナリストがこうした襲撃により命を失っているという、ジャーナリストにとってまさに悪夢のような場所として知られていた。

アギランド氏の妻であるアデリーナ・メンドーサは、現地のニュースに対し、「6歳になる彼らの息子が、殺害の瞬間を目撃しなかったことを神に感謝する」とコメント。合わせて、夫であるアギランド氏に対し、以前から「ジャーナリストを辞めてレストランなどを経営するように勧めていた。夫の母は料理が実に上手で、報道を離れて皆が安らいで暮らせるアイデアだと思っていた」と語っている。

この事件に対し、州知事であるミゲル・アンヘル・ユネスは、アギランド氏の家族を警察に警備させるよう要請したことを発表。メキシコに駐在するアメリカ大使のロベルタ・ジェイコブソンはこの事件についてTwitterに、非常に憤慨していることを投稿。「ジャーナリストを殺しても、真実は殺せない」と述べている。

日本人でも、14年に渡航先のシリアでISIL(イスラム国)に拘束され、翌15年殺害された後藤健二氏や、同年に同じくシリアで行方不明となり、反政府勢力に囚われたままとなっている安田純平氏など、多くのジャーナリストが危険に晒されている現状がある。「報道の自由」という言葉が真実味を帯びることになる日は、果たして訪れるのだろうか。これらの事件を見る限り、それらは遠く儚い夢であるような気がしてならない。

(文◎コリス東条)