【英国発】一瞬で22人を負傷させた〝アシッド・アタック〟の恐怖

「アシッド・アタック」という言葉をお聞きになったことがあるだろうか。

日本語に直訳すれば「酸攻撃」になるこの単語は、主に東南アジアなどにおいて行われる犯罪行為の一つである。名前の通り、酸(つまり硫酸、塩酸、硝酸などの劇物)を対象の顔などにかけることで「消えない傷を残す」という残虐な攻撃方法で、近年では主に若い女性を対象としたDV、あるいは恋愛のもつれなどの復讐に行われることが多い。

このアシッド・アタックは世界中で毎年1500件ほど起きていると言われているが、イギリスではなんとこの復讐が「無差別テロ」のような形で行われた事件が起きていたという。

BBCが20日に伝えたところによると、今年の4月、クラブで酸を投げ込んで逮捕されたアーサー・コリンズという25歳の男に、9つの傷害罪および5つの重大な傷害罪により、5年の延期ができる懲役20年の判決が下ったという。

この人物とは、リアリティ・ショー『ジ・オンリー・ウェイ・イズ・エセクス』のキャストとしても知られるテレビスター、ファーン・マッキャンの元恋人としても知られていた男だ。事件当日、コリンズはロンドン北東部ダルストンにあるクラブに腐食性の強酸を投げ込み、22人を負傷させたという。そのうち16人は重傷で、中でも1人の男性は顔の左側に3カ所の火傷を負い、皮膚移植が必要となったそうだ。コリンズはこの事件を起こす前にも、脅迫、コカインの使用、飲酒運転や暴行などの6件の前科があり、15年にもクラブで男に暴行を加えたことで、執行猶予の判決を得ていた。

コリンズ側の主張によると、クラブの中で言い合いになった男性グループからボトルを奪い、それがデート・レイプ・ドラッグといわれる女性を前後不覚に陥らせる薬であると錯覚。その結果、中身を捨てるため強酸だとは思わずに撒いたと主張しているという。しかし裁判官は、「犯行は明らかに綿密に計画されたもので、被害者に申告が被害をもたらす意図があった」と主張を退けた。

この件に関し、ネット上の外国人の間では、「酸で満たした風呂にこいつを浸からせるべきだ」「もっと罪を重くするべきだ」というコリンズに重罰を与えるべきだという意見や、「こいつは25年しか苦しまないが、被害者は生涯にわたって苦しむことになる」というアシッド・アタックの恐ろしさを指摘する声、「この判決が今後、こうしたアシッド・アタックを防ぐ抑止力になってほしい」と、今後こうした事件が起こらないように願う声など、様々な反応が見て取れる。

無差別に酸をまき散らす犯人が社会に潜み、自分がその犠牲者になる可能性がある――。この事件が与えた衝撃は相当のものだったようだ。

日本においても、15年に通り魔的に女性4人の脚部に硫酸をかけたとして男が逮捕されるなど、少ないながらもこの手の事件が発生している。こうした卑劣な犯罪がはびこる社会にならないことを願わずにはいられない。

(文◎コリス東条)