カジノ法案可決から1年 それでも「裏カジノ」が減らない理由

2016年12月、国会で「統合型リゾート(IR)整備推進法案」(カジノ法案)が可決されてから1年あまりが過ぎた。だが、具体的なカジノ建設に向けた動きはまったく聞こえず、候補地も横浜や大阪をはじめ、全国1カ所所以上の地域が挙げられているが未だ決定には至っていない。

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現時点でハッキリしているのは、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせたカジノ開業がもはや不可能であること。当初、そこを大前提に目指していたはずなのに、これでは本末転倒もいいところだ。

しかし、なぜここまで計画が遅れているのだろうか?

「ひとつはカジノ反対派の存在です。そもそものイメージが悪いうえ、ギャンブル依存症が社会問題化しており、『カジノよりもこっちをどうにかしろ!』という意見があまりに多い。かといって計画自体が中止になる可能性はほとんどなく、現状で言えば2022年には開業できる見通しです」

そう語るのは、カジノ問題に詳しい大手紙記者だ。

しかし、カジノが注目される一方、東京や大阪などの主要都市には非合法の〝裏カジノ〟も多数存在する。首都圏だけでも店の数は、数十軒にのぼるとも言われている。

裏カジノの元従業員だった男性は次のように語る。

「実は、ひと昔前に比べると、今のほうが営業しやすい。その理由はオンラインカジノがあるから。ルーレット台やポーカー用のテーブルを置かず、パソコンを並べるだけなので準備の手間もなければ、パソコンを持ち出すだけで簡単に証拠隠滅が図れる。これによって摘発リスクは大幅に減ったよ」

しかも、中にはノートPCを貸し出す業者も登場。店舗を持たないので摘発が困難で、警察にとっては厄介極まりない。

「お客さんはゲーム内のコインを店側から購入し、増えたポイントは店側に現金化してもらっている。お金のやりとりはネットバンキングで行う。この方法だとディーラーを含む人件費やカジノ設備、テナント料も不要。ノートPCも2~3万円の安物なのでコストもかからない。実際、その手軽さから新規参入の業者も増えていると聞いているよ」(前出・元従業員)

利用客もサラリーマンなど一般客の割合が多いという。

「お客さんには水商売関係者やヤクザもいるけど、店舗型だと6~7割はカタギの人間。貸し出し式のところはもっと多いと思いはずです。お客は違法であることは当然知っていますが、罪の意識は感じていないようだ。特にオンラインカジノであれば、ゲーム感覚で楽しめるのでその影響も大きいんだろうね」(前同)

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ところで、裏カジノ業界の人間は、カジノ合法化についてどのように考えているのだろうか?

「それほど影響なさそうな気がしている。裏カジノと合法カジノ施設の客層も違うと思うから。むしろ、相乗効果で裏カジノの客が増えるかもしれない(笑)」

前出・記者も「カジノ誕生によって裏カジノが減るとは考えにくい」と指摘する。

「カジノ問題が騒がれて、興味を持ち始めて裏カジノで遊ぶようになった人は少なくありません。2022年にカジノ開業で再び話題になれば、似たような状況が起きる可能性は高いでしょうね。国内にたった数カ所の合法カジノよりは、近場にある裏カジノのほうが遊びやすいですから」(記者)

今後は建設が計画されている合法カジノ施設だけでなく、裏カジノからの目が離せなさそうだ。

(文◎高島昌俊)