選挙のたびに死人が出るアフリカ・ケニアのヤバすぎる政治裏事情

政治家にとって、選挙は対立する候補との票の奪い合いであり、それを戦に例えた表現が用いられることはままある。だが、国によっては、選挙が文字通りの戦争状態になってしまうこともあるようだ。

CNNが14日に伝えたところによると、アフリカ・ケニアで今年8月に大統領選挙が行われた際、及びその8月の選挙の結果が無効とされて行われた10月の再選挙の際に、強姦や性的暴力、さらには暴動、殺人などが行われていたと人権団体であるNGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが報告書にまとめ、公開されたという。

この選挙は、現職であったケニヤッタ大統領と、野党候補のオディンガ元首相によって争われたものであった。当初、8月に大統領選が行われ、ケニヤッタ大統領が再選を果たしたが、この際にオディンガ候補サイドが、選挙において不正行為が行われていたと告発。ケニア最高裁は8月の選挙を無効と判断し、10月に再選挙が行われたが、この選挙においてもオディンガ側が「最初の選挙における問題は何も解決していない」と主張。ボイコットを敢行し、ケニヤッタ大統領が再び勝利していた。レイプや性的暴行は、この両期間で数十件も報告されているという。

他にも、この選挙では、8月に選挙管理委員会のメンバーが殺害されたり、10月の再選挙でケニヤッタの再選が決まった際、野党の支持者による暴動が発生し、9歳の少女を含む24人が死亡するなどの事件が起こっている。上記の報告書では、この問題について、「この国の選挙は、数十年間にわたって強姦などの性的なものを含めた暴力で汚染されており、2017年の選挙においても変わっていない」と記述している。

こうした選挙の際の不正・犯罪行為が起こる背景には、ケニア独特の民族構成が影響していると言われている。ケニアは、実に40以上の異なる民族が暮らす他民族国家で、彼らは民族単位での繋がりが強く、その部族ごとに特定の政党や候補者の支持することが多い。それゆえ、政治的ライバルを見分けやすく、暴力による脅迫などが起こりやすい環境にあるという。

07年においても、再選を目指すキバキ大統領(当時)と、オディンガによる大統領選挙が行われたが、この際もキバキの勝利に不服を持ったオディンガの支持者が暴走。その結果、『ケニア危機』と呼ばれる国内紛争に発展し、1000人以上が死亡したのだった。

この際、ケニアが分裂する可能性までも指摘されていたが、最終的には国連のアナン前国連事務総長(当時)が仲介役を果たし、キバキがオディンガとの連立政権を立ち上げることで事なきをえたという経緯がある。

果たして、こうした血塗られた選挙の歴史から、ケニアは脱することができる日が来るのだろうか。平和的な選挙が行われるよう、願ってやまない。

(文◎コリス東条)