【デンマーク】セックス動画を拡散させた1000人以上の若者が訴追

以前であれば、個人を集団で傷つける場合の方法として用いられたのは、直接的な暴力や、あるいはクラスなど一つのコミュニティー全体で無視するといった手段が多く用いられてきた。しかし、インターネットやSNSが普及するにしたがって、そのありようも変化し、現在はネットにおける人格攻撃が生まれ主流となっている。

日本においては、2007年に兵庫県の高校で「学校裏サイト」を用いたいじめを苦にして、当時高校3年生だった男子学生が自殺をするなどの事件が起こっており、こうしたネット上で築かれるコミュニティーでの誹謗中傷が、思った以上に人を傷つけるという事が認知されている。そんな中、北欧のデンマークで、とあるネットの個人攻撃によって多くの若者が逮捕される事態が起こり、注目を集めている。

AFPやテレグラフが報じたところによると、デンマーク警察はFacebook上で15歳の少年と少女のセックス動画を拡散させたとして、1000人以上の若者の訴追手続きを行っていると発表したという。

これは、2015年から2017年の間に2つの動画と1つの写真がFacebook上で拡散されたことに対し、これについての複数の通報を受けた運営当局が、アメリカの当局に通報。その後、EUの法執行機関であるユーロポールを経由し、デンマーク警察にこの情報が伝えられた。

その後、捜査によって約800人の少年と200人の少女がこの動画と写真の拡散を行っていたことが判明。デンマーク警察の担当者は、「これは非常に大規模、かつ複雑なケースのために、調査に時間を要した」と声明を出しているが、彼らに対し、順次訴追の準備を進めているという。

訴追手続きの取られた1000人のほとんどは、15~20歳であるという。

デンマークの法律においては、法的に性交が認められるは15歳からだそうだが、18歳未満の人物を含む性的な資料を配布することは、児童ポルノの流通で最大6年の刑期に問われる可能性がある。訴追をされた1000人以上の少年少女が有罪判決を受けた場合、彼らは罰金か、あるいは20日の執行猶予付きの判決を受けると見られ、犯歴が最長10年残るとされている。

この件について、ネット上の外国人たちは、「この流通された動画の女の子は、今後誰がその動画を見ているかわからないというバカげた状態になる。流通させた奴らは告発されてしかるべきだ」「若い時に性犯罪者としての犯歴を残すとは」と、流出した動画に出ていた少女を憐れむ声、共有した1000人の少年少女に対し罰を求める声などが多い。一方で、「動画を共有しただけでも罪になるのか」「出演していた人間が何歳かなんて判別できるのか?」と、今回の件が罪になることに対して違和感を覚える声も、それなりにあるようだ。SNS上であられもない姿を共有されてしまうこと、そして動画をシェアしただけでも逮捕されるという可能性があるということの2つに恐怖を覚えた人が多いというわけだ。

日本においても昨年、児童ポルノの単純所持で、漫画家で『るろうに剣心』などの人気作で知られる和月伸宏を含めた数人が書類送検されるなど、こうした児童ポルノへの規制は強まっている。だが、こうした明確な意思の下に所持した案件に比べ、今回のデンマークの一件は、おそらく容疑者のほとんどが軽い気持ちで動画を共有した結果、動画に出ていた人物を傷つけ、さらには共有した人物までも訴追される結果となってしまったものである。

こうしたSNS、ひいてはインターネットという存在に向き合う上で、我々には相応のリテラシー(読解記述力)が求められるということを、この事件を通して再認識させられた人も多かったのではないだろうか。

いずれにせよ、被害にあった少年少女が、今後不安のない日々を送れるように切に願うばかりである。

(文◎コリス東条)