凶悪犯罪が多発するウガンダで大統領が死刑制度を復活させた裏事情

トランプ大統領の誕生、EU各国における極右政党の台頭など、世の中ではナショナリズムや自国第一主義が蔓延りつつあると言われている。最近では、フランスのアクロン大統領が、2001年に廃止していた徴兵制の復活を宣言し議論を呼ぶなど、こうした流れに呼応し、ある意味では〝回帰〟ともとれるような動きが多く見られているのが特徴と言えるのかもしれない。

そんな中でアフリカにおいても、〝とある制度〟の復活で議論を集めている国があるという。

BBCが19日に報道したところによれば、東アフリカに位置するウガンダ共和国のムセベニ大統領が、13年間行われていなかった「死刑を復活させる意向がある」と声明を発表したという。

「私のクリスチャンであるというバックグラウンドのため、罪を犯した人々を絞首台に送ることに対して同意をしていなかったが、その寛容さが人々に犯罪を行い、罪から逃げおおせられると考える理由となっている」

ムセベニ大統領はSNSのTwitterに、このように投稿。さらに同じく、木曜日に首都・カンパラにある刑務所の看守養成施設の卒業式において、何人かの絞首刑を実行すると述べた。

ウガンダ・ムセベニ大統領

この件について、ウガンダの人権基金のエグゼクティブ・ディレクターであるリビングストン・セワシニャーナが「処刑は罪を止めることはできない」とワシントンポストに声明を発表するなど、多くの人権団体が大統領を批判している。

ウガンダにおいては、カンパラで昨年、たった4カ月間に20人の女性が殺害されるなど、犯罪が増加している。こうした背景を受けて、ムセベニ大統領は今回の発言に至ったのだと思われる。しかし、一部の批評家はこれについて、ムセベニ大統領は本気で処刑再開を考えておらず、「人気取りのための政治的な発言である」とする声や、「警察が犯罪者を捕まえることよりムセベニの政敵を標的にするのではないか」という声が上がっている。

1986年以来、ウガンダの大統領を務めているムセベニ大統領。つまり30年以上の長期にわたって大統領に就き続けているわけで、さらに今年の初め、2021年の大統領選挙で再選するために75歳以上の国民が大統領選挙に出ることを禁止していた法律を改正し、一部の国民から批判を浴びていたという。この時に芽生えたネガティブなイメージを払拭し、人気を取り戻そうとするための発言ではないかというのが、こうした批評家の見方に繋がっていると言える。

世界の国々においては、基本的に死刑制度を廃止する流れが広がりつつある。しかし、インド洋に浮かぶ島国・スリランカは、1976年以来凍結されてきた死刑制度を世論の高まりにより99年に復活させ(まだ復活後に執行例はない)、同じく南アジアに位置するパキスタンは2009年に死刑制度を凍結したものの、140名が死亡したテロ事件を契機として2014年に復活させるなど、一部の国はこうした死刑制度を再び取り入れている国も存在している。

果たして死刑は、犯罪に対する抑止力として力を発揮するのだろうか。あるいは、報復感情を満足させるだけのものに過ぎないのか。

その答えは長い人類の歴史の中でもいまだ出ていない。しかし、現在の世界を包み込んでいる流れの中で、「徴兵制」と同じく復活させるべきかという検討を始める国が多くなりつつあるようだ。

(文◎コリス東条)