【ウクライナ発】息子を殺された父親が法廷で犯人もろとも爆死

罪を裁くための法廷が、事件の現場となる――。

先月29日、オランダ・ハーグで開かれた国連旧ユーゴスラビア国際刑事法廷で、戦争犯罪者とされ禁固20年を言い渡されたHVO(クロアチア防衛評議会)の幹部、スロボダン・プラリャク被告(72)がその場で服毒自殺した事件が世界に衝撃を与えている。しかし、同時期にウクライナでは同じく法廷で、より苛烈な事件が起こってしまった。

服毒自殺するスロボダン・プラリャク被告

BBCやINDEPENDENTが先月の30日に伝えたところによると、同日の11時20分、ウクライナ東部のドネプロペトロフスク地方、ニコポルにある法廷で開かれた聴聞会にて、男が2発の手榴弾を爆発させ、犯人の男と聴聞会に出た3人の被告のうち1人が死亡したという。ほかにも被告2人、警備員2人、裁判官、民間人などの計9人が負傷した。

この聴聞会は、2016年に起きた殺人事件についてのもので、この事件では3人の容疑者が車上よりカラシニコフ銃により銃撃を行い、2人の通行人を殺害したとされる。法廷で手榴弾を爆発させた男は、この事件の被害者の一人の父親であるという。犯人の男は、聴聞会が閉廷され、被告たちが手錠をかけられたタイミングを見計らって犯行を行ったようだ。

「この国の法廷にはセキュリティーがないのか? 私は自分の国の裁判に出たことがあるが、厳重に荷物検査をされた」

この事件に対して、ネット上の外国人たちからはこんな声が上がっているほか、「こうした事件はウクライナにおいては日常茶飯事だ。役人が腐敗しきって武器を横流しするような国だからな」という現地人と思われる指摘など、様々な意見が挙がっている。

息子の敵討ちに法廷で被告もろとも自爆する。こんな苛烈な手段で復讐が実行されたこの事件自体のインパクトもすさまじいものがあるが、この裏にはウクライナという国の政情不安があると記事は語っている。2014年の3月に行われたロシアによるクリミア併合以来、同国内ではウクライナ政府軍と親ロシアの分離独立派による内戦がいまだ続いている状況だ。その不安定な政情の中で、不法に横流しされた銃や手榴弾といった武器が凄まじい数流通していると言われているのである。さらに、軍や政府を信頼できなくなった人々は、自衛のため、まるでお守りのように銃などの武器を購入してしようとしているというのだ。

あるいは、この衝撃的な事件は、ウクライナが陥っている状況を端的に表しているものだとも言えるのかもしれない。この地域に真の平和が訪れるのは、いったいいつになるのだろうか。

(文◎コリス東条)