【テロリストは劇団員?】フランスの片田舎であった「ジハード騒動」

最近でも、先月24日にエジプト・シナイ半島のモスクが襲撃され、300人以上の犠牲者を出すなど、ISISやそれに近しい団体、あるいはそれに感化された人物によって、テロは次々に引き起こされている。これを世界各国は警戒する状況が続く中、「李下に冠を正さず」(誤解を招くような行動は慎むべき、という意味の故事)という言葉がふさわしい騒動がフランスで起こり、注目を集めている。

BBCが1日に報道したところによると、この騒動は先月30日のフランスのパリから北部のトロアに向かう途中、ツアー中だったベルギー人のコメディー劇団によって引き起こされたという。その列車内で劇団員らは、この後の公演で行われるコメディー劇の練習をしていたのだが、その劇というのが、「ジハード」と名付けられた風刺劇だった。劇団員が行う「ジハード」とは、3人の若者がイスラム教を信じない者たちに対して「罪の報い」として聖戦を起こすため、シリアに向かおうとするというストーリー。そのため、練習を周りで聞いていた乗客が、劇団員の口から「ジハード」、「ベルギー」、「爆撃」という言葉が発せられるのを耳にし、「本物のテロを計画している」と勘違いして通報。目的地となるトロイの駅から乗客が退避させられ、防弾チョッキを着こんだ重装備の警官30人による厳戒態勢が敷かれる事態へと発展したのだった。

写真はイメージです。

当の劇団員らは、自分たちがこのような事態を引き起こしたことなど知るはずもなく、トロアに到着。劇団員の一人であるセオ・アスコロビッチはこの時の様子をフランスのウェブニュースサイトに対し、「ちょっと怖かった。テロリストが駅にいると思ったんだ」と語っている。彼らは降車する際、警察官に何が起きているのかを尋ねたところ、叫び声で動かないように制止され、身元の確認と身体検査を受けることとなったという。その際に、小道具に使われるカラシニコフ銃のモデルガンが見つかったが、誤解とわかり、その後解放されたようだ。

フランスの小さな街に似つかわしくない大騒動に発展したものの、トロアの隣町であるラ・シャペル=サン=リュックの劇場で彼らが行う予定となっていたショーは無事、滞りなく行われたという。

これらに対して、ネット上の外国人たちの反応は、「リベラルな西欧人は洗脳されたかの如く馬鹿だな」「警察の時間を浪費した罪で収監しろ」「国外追放するべきだ」など、かなり辛辣な意見が目立つ。この騒動自体がドッキリ企画としてコメディーの題材になりそうな話ではあるが、現在の緊迫した時期にこうした題材でコメディーを行うということ自体が不謹慎だという感覚を持っている人が多いということなのだろう。

それだけテロリズムに関して敏感にならざるを得ないという現状が、少しでも早く解消されることを願ってやまない。

(文◎コリス東条)