死神に魂を売った? 殺人容疑のインド幸福省大臣が行方不明に

こと日本においては、「政治家」と「殺人」というワードが組み合わさった場合の多くで想起されるのは、政治家が殺されるという事例ではないだろうか。近年だけでも実際に、2002年10月に発生した民主党の衆議院議員・石井紘基氏が右翼団体代表の男に刺殺された事件や、2007年に伊藤一長長崎市長が暴力団組員の男に殺された事件など、それなりの数があげられるほどである。しかし、インドでは現在、政治家が殺人を行ったのではないかという、前代未聞の疑惑が渦巻いているという。

BBCが14日に伝えたところによると、インド中央部に位置する同国第二の規模を誇るマディヤ・プラデーシュ州のラル・シン・アリア幸福省大臣が、09年に野党の政治家を殺害した容疑で逮捕される見込みだという。アリア大臣には、以前からその容疑を追及されていたものの、その都度否定していたが、裁判所が火曜日に逮捕を命じてからというもの、行方が分からなくなっているそうだ。

行方不明となったシン・アリア大臣

この幸福省とは、16年7月に現政権を担うインド人民党が同州に設置した機関で、市民に幸福と包容力を与えるべく、彼らの持ちうるポテンシャルや幸せを実現できるシステムの構築を担うとされている。そこでは、ボランティアなどによるイベントなど、様々な活動が行われていたようだ。アリア大臣は幸福省が設立されて以来、この部門の統括を行っており、特定のカーストや部族に対する福祉のスケジュール管理や一般行政、航空など、5つの部門を率いていたという。

アリア大臣は今月の19日に裁判所に出廷する予定となっており、現地の警察は、それまでに彼を見つけ出して確保するつもりであると発表している。

この衝撃的な事件に対し、ネット上の外国人たちの間では「国の幸せが消えていくな」「幸福省大臣っていうのは死神に媚びを売った名前のことだろう?」「幸福省大臣はおそらくはトリガーハッピー(銃を乱射するのに幸福を感じる人間。幸福省のHappinessとかけたダジャレと思われる)だ…」など、本来的には国民の幸福度を高める仕事をするはずの大臣が、殺人という重罪を犯した疑いをかけられていることを皮肉るような声のほか、「なぜ幸福省なんてものが必要なんだ?」「幸福省が必要になるなんて、完全におかしくなっているよ」と幸福省という聞き慣れない組織自体を訝しがる声などが多く交されている。

インドは以前から、カースト制度や男女の性差による差別が際立って多いと国際社会から問題視されてきた国だ。この幸福省とは、そうしたことへの対策として作られたものの一つだと言えるが、そのトップが殺人罪で逮捕されることとなれば、このプロジェクト自体に暗雲を落とすこととなりそうだ。

(文◎コリス東条)