【ネカフェ難民ルポ①】悪循環から抜け出せない40代男性が苦悩を語る

「なんとか貯金しなきゃとはいけないとは思ってる。でも、できない」

さらに話を聞いていくうちに、林さんが独身であることがわかった。では、ネカフェではなく、実家で暮らすという選択肢はないのだろうか。

「実家はね、どうしたって車が必要な群馬の田舎なの。車なんて買えないでしょ、でも車がないと家から出られない。だから実家に戻る考えはないね」

とはいえ、決して今の生活でいいとは思っていない。

「毎日の生活でいっぱいいっぱいだから、貯金が出来ないんだよ。貯金ができないからアパート借りようったって初期費用が用意出来ない。なんとか貯金しなきゃとはいけないとは思ってるよ。でも、できないんだよ」

林さんは、貯金のことを何度も口にした。決して安定しているとは言えないし、毎月約15万円という収入では、今の時代、決して十分な額とは言えないだろう。しかし、浪費した形跡も見当たらず、貯金しようと思っているという言葉もおそらくウソではないように思えた。

漠然とした不安や自分へのいらだちは、今も胸の内から消えることはない。しかし、漠然とした考えの域を出て、貯金に向けて計画を立てて実際に実行するということがどうも出来ないようだ。

「ここはシャワーも洗濯機もあるし快適だよ。ここがなかったら生きていけないからね。そりゃ、今の生活から抜け出さなきゃマズいと思ってるよ。でも抜け出すに抜け出せない。もう悪循環だね。どうすりゃいいかわからないわけよ」

〝ここがなかったら生きていけない〟という言葉は、本当の意味での〝生きていけない〟なのだろう。そう思うと、こうしたネカフェが、是非問わず結果として多くの人のセーフティーネットとなっている側面は否定できない。

最後に、「また取材させてもらいたい」と連絡先の交換を願い出てところ、林さんはこう言って断った。

「また話が聞きたかったら、ここに来ればいい」