【豪州発】「ワンパンチ法」で懲役8年を余儀なくされた酩酊受刑者

酔った上での喧嘩……世界的に見て犯罪発生率が低く治安が良いとされる日本においても、それなりの発生件数がありそうな事案ではある。しかし、世界を見渡してみると、それを厳しく制限する法律がある国もある。

8日にBBCが報道したところによると、オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ州において2014年から施行されている「ワン・パンチ法」において、初めての有罪判決が出たという。この法律は、アルコールや麻薬の影響を受けている間に相手に暴行を加えた場合、最低8年、最高で25年の懲役判決を受けるという法律だ。主に酩酊を原因とした暴行事件を減らす目的で作られた。

この法律が制定されるきっかけとなったのは、12年にトーマス・ケリーという18歳の少年が、酩酊状態にある男に一発殴打されて死亡した事件とされている。トーマス少年を死亡させたにもかかわらず、犯人の男に言い渡されたのは4年の懲役という「軽すぎる」と思わざるを得ない判決。当然、少年の家族はこの判決に対して「罪が軽すぎる」と批判を行い、制定に向けた世論の後押しを得ることとなった。

命を落としたトーマス・ケリー少年

この法律は、他にも午前1時半以降のバーやクラブといった施設の入場禁止や、午前3時以降に飲食店における酒類の販売禁止なども命じており、事実上のナイト・ライフの制限を命じた法律として制定されていた。

そのワン・パンチ法で、初めての有罪判決を受けることとなったのは、ヒュー・ガースという25歳の男だ。彼は14年の5月、酩酊状態にありながら、誕生日パーティーが行われていたシドニーの家の外で、レイナー・マランドという男性を一発殴り、死亡させた疑いで逮捕されていたが、8日に10年以上の懲役刑を宣告された。この判決の際、判事は「飲酒に端を発する暴力事件は頻繁に発生しており、こうした犯罪は重大な不安を引き起こす原因となる。地域社会はこの件に対して明確に怒りを抱いており、その発生に対して不満を抱いている」と、オースラリアで多発している酩酊状態でのトラブルを強く牽制する言葉を述べたという。

このワン・パンチ法については、すでに一定の評価を得ている一方で、「最低8年というのは重すぎるのではないか」という声や、対象となる地域におけるナイト・ライフに影響を与えたという批判も浴びている。しかし警察当局は、この法律が「街頭における暴力事件を減らしている」と主張、擁護しているのが現状のようである。

世界中の多くの国において、禁煙の流れが大きくなりつつあることは周知の通りだが、こうしたアンチ・アルコールの潮流も世界各地で生まれつつあるようだ。

(文◎コリス東条)