【ルポ】西成・覚醒剤事情最前線…ますます水面下に潜る売買の現実

ドヤを使った新たな売買方法が確立され、岐路に立たされる売人たち

「そのドヤの一室が〝シャブ部屋〟になってたからや。(逮捕された)男たちは、ドヤの前の路上で客と交渉した後、客をその部屋に入れて、数分後に客が出ていくというシステムや。ほかに、その男らがドヤに入って、携帯電話で誰かと連絡した後、封筒を受け渡すいうやり方もあったようやで。捕まった男らは〝売り子〟やな」

逮捕された男たちは、このような〝売り方〟で、売買を行っていたというわけである。当然、あまり目立って商売できないため、売り上げだけを見ればたかが知れている。しかし、これを繰り返し売買することによって、多大な利益を生むのだ。

「白ペン」の隠語で呼ばれる白いキャップの注射器

かつて、あいりん地区では、ドヤなどに住む多くの住人が覚醒剤売買に関わっていたと言われる時期があった。これは、覚醒剤を求める客を売人に紹介するだけで、その人間にも〝おこぼれ〟的に小遣い銭がもらえていたからだ。

このように、現在はドヤを舞台とした売買が行われる覚醒剤の密売だが、かつてあいりん地区での主な密売方法と言えば路上で行われるのが常だった。その場所は、それぞれ略称で呼ばれていた。

「踏切横(線路脇)」「オー〇ャン前」「コインロッカー」「○○プラザ」

これらは有名な密売場所の一部だ。こういった場所は、たとえ警察によって摘発されても、数時間後にはすぐ売り子や立ちんぼと呼ばれる売人が密売をすぐに始めていたために、覚醒剤中毒者がいつも散見される場所だった。付近には防犯カメラなどもあったのだが、それでもお構いなしだ。

数年前までは、これらの密売場所で1万円を渡すと、その場で覚醒剤と注射器を渡されるという方式だった。しかしその後、取り締まりが厳しくなったため、お金を渡すと売り子が何者かに電話をかけ、摘発の目を逃れる場所に移動して渡されるという方式が主流になった。

たとえば、売り子が買った相手に電話番号などを渡して、配達する「デリバリー」などが新たな手法となった。

当サイトでも以前、このデリバリー方式を使った売人たちの逮捕を取り上げている。

(関連記事:スナックの名刺を使って覚醒剤密売していた2人の男が逮捕

そして冒頭に記した、ドヤの一室に案内するというのも、新しい手法の一つである。

外国人観光客で溢れ返るドヤ、もう覚醒剤の売買には使えない?