【危険ドラッグ約185㌔(約36億円相当)検挙】未だ続く危険ドラッグ蔓延の背景は?

東京・練馬区のアパートの一室で、危険ドラッグ約185キロ(末端価格にして約36億円相当)を販売目的で貯蔵していたとして、警視庁組織犯罪対策5課と関東信越厚生局(通称:マトリ)は24日、医薬品医療機器法違反(販売目的貯蔵)の疑いで、新宿区戸山の職業不詳、米谷勝己容疑者(35)ら男6人を逮捕した。

逮捕のきっかけは2016年6月8日、倉庫代わり使われていたことについて不審に思ったアパートの大家が練馬警察へ通報。それを受け、練馬区内にある当該アパートの一室を家宅捜索したところ、指定薬物8成分を含む粉末や植物片など危険ドラッグ計約185キロが見つかったという。

警視庁は、販売目的で貯蔵した疑いで捜査を進めている。また、この部屋からは、空のカプセルが1400個も見つかっている。

米谷勝己容疑者らは原材料を海外から輸入して危険ドラッグを密造していたとみられ、押収された危険ドラッグからは指定薬物「α-PVPP」も検出されいた。米谷容疑者らが密造した危険ドラッグは「エフェクト」などの商品名で、インターネットサイトを通じて販売していたとみて、警視庁はさらに捜査を進める方針だ。

危険ドラッグ・脱法ハーブなどが社会問題となったのは2014年のことだ。それから数年経つが、今も水面下ではこれらが闇で流通していたことになる。では、今回問題となった指定薬物「α-PVP」とは何なのか。薬物事件に詳しいジャーナリストの竹村明氏によると、これは近年、多種多様な成分が出回っている危険ドラッグの世界で、「最も人気を博した化合物」なのだという。

「危険ドラッグは大きく分けると、大麻に似た作用をする『合成カンナビノイド類』と、覚せい剤やコカインに似た作用をする『カチノン類』に二分できます。もちろん、この他にも『幻覚系』だったり、ケシに近い作用をする『オピオイド類』、RUSHのような『硝酸エステル系』など、色々なものが存在します。『合成カンナビノイド類』は、摂取すると大麻のように感受性が高まる一方で、極めて毒性が強い物質も存在し、最悪の場合、2014年に発生した『池袋危険ドラッグ吸引RV暴走死亡事故』のように、意識を失ったり、全身のけいれんを引き起こすこともあります。一方で、『カチノン類』は『合成カンナビノイド類』がまったりした状態になるのとは逆に、『動けるドラッグ』と言われるように、覚醒剤のように心身の動きを活性化させるので、集中できたり、性的快感が増幅することから人気です。しかし強い覚醒効果により依存する人も後を絶たないです」(竹村氏)

その結果、日本国内にはα-PVP依存者が生まれ、覚醒剤依存と同様の状況が起きているという。現在も危険ドラッグの売買が絶えないのは、そのためなのだ。さらに竹村氏の話を続ける。

「危険ドラッグは、日本だけの問題ではなく、アメリカでは『フラッカ』の名称で蔓延し規制の対象になりました。ロシアでも同様に蔓延していて、大きな社会問題となっています。覚醒剤に似た作用をする一方で、元々の原価が安いうえ、覚醒剤の密売形態のような複数の組織や人物を介さないことから、安価に入手できるが蔓延のするポイントです。かつて広島県などでは、『メリーちゃん』の名称で露天で公然と販売もされていたのも、日本で認知されている理由の一つでしょう。とはいえ、これらの化合物の大半が衛生管理がなされていない中国の工場で製造されているのが実態です。つまり、不純物も多く、主たる成分の化合物自体が十分な研究もされていないため、副作用や中長期的な使用によるリスクなどが何も分かっていない、つまり使用者が人体実験を行っている状況です」

かつて、段ボール餃子事件などが発覚した際は中国製品を不安視していたのに対し、薬物については容易に受けて入れてしまう人々が少なくない。現代社会のアヘン戦争とも言うべきこの状況はいつまで続くのだろうか?

(文◎四菱 紘淳)