タイ刑務所で25人が集団脱獄!囚人はなぜトルコを目指すのか?

長期の服役を余儀なくされた受刑者にとって、脱獄は収監中の永遠のテーマである。古くは『昭和の脱獄王』と呼ばれた白鳥由栄(1907〜1979)や、2012年に広島刑務所で起きた中国人受刑者の逃走など、日本においても過去幾度も起きている脱獄事件。そんな受刑者が夢見る脱獄の中でも、近年まれにみる規模のものが、タイ南部のマレーシアとの国境付近、ソンクラー県の刑務所で起こってしまった。英BBCの報道によると、現地に収容されていたウイグル人受刑者たち25人が一斉に脱獄したという。

タイの囚人たち(写真はイメージです)

脱獄したのは、2014年に拘束された200人以上からなるウイグル人グループの一部で、彼らは壊れたタイルを使用し、収容されていた刑務所の区画に穴を開け、毛布を使って刑務所の有刺鉄線を乗り越えることで脱獄を成功させたという。この刑務所の警察高官によれば、脱獄時は大雨が降っており、それゆえ彼らが脱獄するときに物音が聞こえなかったというのも、この脱獄劇が成功した一因であるという。逃走した者たちのうち、5人は既に捕縛されたものの、残りの20人はいまだ逃走中とのことだ。

この刑務所がマレーシアとの国境付近にあることもあり、前出の警察高官によれば、現在は国境付近に検問所を作るなどして、彼らの行方を追っているという。

この事件について、ネット上の外国人たちは「大脱走だ!」「プリズン・ブレイク」「ワオ!」など、驚きをもった反応が多く見受けられている。だが、この大脱獄劇の裏側には、かなり複雑な事情が渦巻いているようだ。

記事によれば、多くウイグル人は、中国による弾圧が続いているとされる新疆ウイグル自治区を離れ、不法移民と化しながら東南アジアを経由し、トルコを目指すことが多いとされている。これは、トルコがこうしたウイグル人たちを同胞とみなし、積極的に受け入れているからであるとされている。事実、2015年7月には、同じくタイで拘束されていたウイグル人を、タイの政府当局が中国に強制送還したことに対して、トルコのアンカラやイスタンブールなどで大規模なデモが発生している。この時は中国とトルコが彼らをともに自国民であると主張し、自国へと返還するよう求めていた。また、同年7月には、タイの首都であるバンコクにあるエラワン神社にて、死者20名を出す爆弾テロが発生したが、これも上記の強制送還への報復であるとの見方が強いとされている。

今回逃亡した20人については書類が存在せず、国籍の特定は困難であるとタイ移民局の職員は語っているが、今後脱獄した者たちの捕縛に成功したとしても、彼らへの対応にタイの政府は頭を悩ませることになりそうだ。

(文◎コリス東条)