【殺人カルト教団指導者】C・マンソン死去で揺れる「マンソン」たち

チャールズ・マンソン死去――。

1960年代後半のアメリカで、カルト集団『マンソン・ファミリー』を率いて、女優シャロン・テート殺害事件のほか、合わせて7人の殺害を信者に指示して終身刑を宣告される。そんな『悪の象徴』とも言われた男が、今月の19日に搬送されたカリフォルニア州の病院で死去した。

この稀代の殺人犯は、一方でミュージシャンの素養も持ち合わせていたようで、1967年には『LIE』というアルバムを発売。これが一部のアーティストの興味を引き、ガンズ・アンド・ローゼスがアルバム内の楽曲、『Look at Your Game, Girl』をカバーするなど、音楽界との関わりが深いことでも知られている。そんな両者の奇妙な縁が、今回のマンソン自身の死という出来事の際にも、ある騒動を通じて浮かび上がることとなった。

1967年に発売された『LIE』

その騒動の中心人物となったのは、『アンチ・クライスト・スーパースター』などの作品で知られ、その暴力的なパフォーマンスが度々話題を呼ぶアメリカのミュージシャン、マリリン・マンソン。本名がブライアン・ワーナーである彼は、マリリン・マンソンという芸名をマリリン・モンローとチャールズ・マンソンの名前を混ぜて作ったことで知られているが、今回のチャールズ・マンソンの死に際して、彼が死んだと勘違いした多くの人々が追悼メッセージの投稿を行い、SNSのトレンドとして認知されるような事態となったのである。

このことはNewsweekなどの媒体に取り上げられ、「シャーリー・マンソン(イギリスの歌手)にも同じことが起きているんじゃないか?」「知識が得られるはずのインターネットで、なぜ人はこんなにも馬鹿になってしまうんだ?」という反応がネット上で見られるなど、概ね笑い話として受け取られていた。

しかし、当のマリリン・マンソンが、この騒動に参加したことで事態は一変する。彼は20日にSNSのTwitter上で、チャールズ・マンソンの写真とともに、自身がカバーしたチャールズ・マンソンの楽曲『Sick city』の音源へのリンクを投稿。この行為に対し、米ロックバンドの大御所であるキッスのメンバー、ポール・スタンレーが「人殺しの極悪人の死にかこつけ、宣伝をしようと必死になってる、キャリアの上手くいかなかった人間は悲しいな」と批判するなど、多くの議論を巻き起こしている。

もともと、マリリン・マンソン自体がチャールズ・マンソンから芸名をとったことからもわかるように、キリスト教批判(本人は単なるキリスト教批判ではないとしているが)や、さらにはセックスや暴力をメーンとした楽曲を作るという性質のミュージシャンであり、それゆえに、ある意味自分のモチーフの一部ともなるチャールズの死に対して、こうした反応をすること自体は自然だとも考えられるが、そうではない人々も多くいるということなのだろう。マリリン・マンソン以外にも、アメリカのロックバンド、システム・オブ・ア・ダウンなどのギタリストとしてもしられるダロン・マラキアンが、チャールズの死に際してSNSのFacebook上で追悼コメントを出したことで議論が巻き起こるなどの騒動も起こっている。

これら一連の騒動を見ていくと、少なくとも、チャールズ・マンソンという殺人犯の死は、アメリカ社会にとって重大なトピックであったということは確かなようだ。

(文◎コリス東条)