【米オレゴン発】恋人との〝キス〟が原因で獄中死した殺人犯

英語圏には「Kiss of death」という言い回しがある。これは新約聖書において、「買収されてキリストを裏切ったユダが、キリストを捕まえようとした追手を、キリストと弟子たちのところに案内した際、誰がキリストなのかわかるように足にキスをした」という故事がもととなったものだ。つまり、命取りになる行為や、災いの元となるようなものを指し示すわけだが、その言葉通り、「死のキス」となる事件がアメリカ・オレゴン州の刑務所で起こったと、BBCニュースが伝えている。

この死のキスを行ったのは、という41歳の男。パウエルは、義母を刺殺した罪で終身刑を宣告され、オレゴン州の刑務所に服役していた。2人は、パウエルの友人であるブランディ・ポゴビッチという女性のSNSを通じて知り合ったという。

事件が起きたのは2016年6月2日。ブレアは刑務所を訪れてパウエルと面会したが、その際にキスをし、覚せい剤の一種であるメタンフェタミンの入った風船を7つ、口移しで渡した。この2人による薬物の受け渡し計画は成功したように思われたが、面会後にそのうちの2つが、パウエルの胃の中で破裂。パウエルはこれが原因となって死亡した。

ブレアはこの一件により逮捕されたが、彼女の弁護士は、この事件はパウエルが計画し、ブレアは彼のいうことをきかなければならないような精神状態に陥っており、強制されたものであると主張。裁判官も、「この悲劇が起きた原因の一端は、彼(パウエル)自身にもある」と、ブレアとパウエル両方に責任があると認め、ブレアに対し薬物による共謀謀議罪で2年の懲役、および釈放後に3年の保護観察と、薬物中毒やメンタルの治療を行う必要があることを通告した。

この事件とは趣が全く異なるが、同じくキスによって引き起こされた死亡事件が、2012年に同じアメリカで起こっている。当時20歳であったミリアム・デュクレ・レマイという女性は、恋人とキスをしたのちに呼吸困難を起こして死亡してしまった。これは、彼女が重度のピーナッツアレルギーを抱えており、それを知らなかった恋人が、ピーナッツバターサンドを食べた直後にキスをしてしまったことが原因だったという。

恋人同士が行う愛情表現の中で、最も日常的でいて、メジャーなもののひとつであるキス。しかし、上記2つの事件のように、キスをする双方の思惑や、条件などが悪い方向に重なることにより、人の死を引き起こすという、おそろしい行為にもなりかねない。

(文◎コリス東条)