【感謝祭当日の悲劇】家族を銃殺した牧師が背負う殺人より重い罪

「感謝祭」といえば、11月の第4木曜日に定められたアメリカにおける祝日の一つで、七面鳥を食べる習慣があることが知られている。もともと、この習慣が執り行われるようになったのは、17世紀にイギリスからアメリカへと渡ってきた移民たちによる。彼らが最初の収穫に感謝するために開いた宗教的な行事が、感謝祭の起原になったという説が一般的となっているこの祝日は、現在では「親族や友人が集まる家族行事の日」ととらえられてきた。

感謝祭当日の食卓(写真はイメージです)

それが、いつからか感謝祭の翌日から、小売店がクリスマスセールの前哨戦としてセールを始める『ブラック・フライデー』や、翌週の月曜日に同様の理由でウェブ通販がセールを行う『サイバー・マンデー』などのセールが行われるなど、アメリカ社会においてこの時期の重要な日になっているのだ。そんな本来は楽しいはずの感謝祭の日に、ヴァージニア州で残虐な殺人事件が起こってしまったことで、米国に衝撃が広がっている。

Newsweekによると、ヴァージニア州チェスターに住む牧師のクリストファー・ガティスは、感謝祭当日である25日の夕食中に、家庭内でのいさかいを発端として、妻のジャネット、娘のキャンディス、そのボーイフレンドであるアンドリューを銃殺。通報を受けた警察が駆け付けたところ、アンドリューの死体は家の前庭に置かれ、家の中でジャネットとキャンディスの死体が見つかったという。現在、クリストファーはチェスターフィールド郡にある刑務所で、拘束されることなく身柄を確保されているという。

この事件について、ネット上では「これは聖書に書かれてなかっただろうな」「キリスト教はもはや邪教だ、支援するのをやめよう」「信仰の自由と犯罪には明確な関係性がある」など、犯人が牧師であったことに対することへの皮肉や驚きなどの反応が多く見られている。感謝祭という宗教的なイベント当日でありながら、3人を銃殺したのが聖職者であったというニュースは、やはり大きな衝撃を受けた人が多いようだ(厳密にいえば、プロテスタントの牧師は聖職者ではないとされているが)。

アメリカにおいては、2002年にカトリック教会の聖職者が児童への性的虐待を行っていたことが大々的に報道され、多くの訴訟が起こった過去がある。さらに、それら児童虐待の実話をもととした『スポットライト 世紀のスクープ』という映画が2015年に制作され、アカデミー賞の作品賞と脚本賞を受賞したこともあり、現在キリスト教に対する〝逆風〟が吹き始めているとも言われている。

この事件により、さらにそうした風潮が加速することも考えられる。宗教関係者への風当たりは、今後いっそう強くなりそうだ。

(文◎コリス東条)