【金塊2300万円相当】機内トイレに隠して密輸 スリランカ人ら6人逮捕

今月29日、金塊5キロを航空機のトイレに隠してシンガポールから日本に密輸しようとしたとして、愛知県警は、同県安城市に住むスリランカ国籍の中古車卸売会社の社長ムハメッド・ラフイーク・ムハメッド・リザニ容疑者(48)ら外国人4人と、日本人2人、計男女6人を関税法違反(無許可輸入未遂)や消費税法違反などの疑いで逮捕した。

うち、運び役とみられるのは名古屋市港区に住むスリランカ人のセイエド・モハメド・モハメド・イムラン容疑者(32)で、会社役員の細谷清之容疑者(73)が換金役だったとみられている。

▲ムハメッド・ラフイーク・ムハメッド・リザニ、細谷清之両容疑者が経営に関わっていた中古車卸売会。日本中古車輸出業協同組合より

 

▲Googleより
▲株式会社オートワールドのwebサイト(既に閉鎖)

 

容疑者らは昨年7月23日、彼らの中の1人が金塊5個、計5キロ約2280万円相当を持ってシンガポールを出国。途中、台湾で中部空港(愛知県常滑市)行きの日本航空機に乗り換え、機内のトイレの壁の裏に粘着テープを用い金塊を隠し、中部空港で羽田空港行きの国内線に切り替わる同機に載せたまま出発させようとしていた。さらに、消費税など約180万円を免れようとした疑いが持たれている。

セイエド・モハメド・モハメド・イムラン容疑者が入国時に税関の手荷物検査で、同種の粘着テープを所持していたことが発覚。事情を聞いたところ、犯行を認めことから事件は明らかになっていた。

▲赤丸の部分に金塊を隠していた

 

ムハメッド・リザニ容疑者が指示役となり、機体が日本で国内線に切り替わったタイミングで、別の人物がトイレから金塊を回収。これを通関せず密輸入するというのが、彼らの計画だったようだ。中部空港で警戒をしていた税関職員がトイレの金塊を見つけ、発覚したという。愛知県警は、6人の認否を明らかにしていない。

こういった〝国際線から国内線に切り替わる飛行機を利用〟しての金塊の密輸は、実は過去にも度々起きている。昨年7月には、台湾から関西国際空港に向かっていた格安航空(LCC)「バニラ・エア」の機内にあるトイレ2カ所で、金塊数十キロが見つかっているほか、中部空港で同様の手口で金塊が見つかっている。ともに、金塊が発見された機体は、空港到着後に国内線へ切り替わる予定であった。

なんともマニアックな方法での密輸とも思えるが、日本航空によると、どの機体が国際線から国内線へと回るのかは〝企業秘密〟とされている。ともなれば、犯人はよほどの航空機マニアか、はたまた航空関係者に協力者がいたか…。

しかし、実は〝ある方法〟を使うことによって、どの機体が国際線から国内線へと切り替わるのかが分かるのだという。

〝ある方法〟とは、「フライトレーダー24」(https://www.flightradar24.com)というサイトだ。これは、飛行機の運行状況をリアルタイムで知ることが出来るサイトで、ここから機体識別番号が特定でき、そこからその機体の飛行記録を調べることができる。

たとえば、台北ー名古屋線便として飛行するJL822便の2018年1月27日について調べてみると、「JA320J」という機体が使用されていたことが分かる。

(flightradar24より)

 

これを元に「JA320J」という機体の飛行記録を検索すると、引き続き「フライトレーダー24」で検索すると…

札幌-成田 08:14-09:35

成田-台北 11:52-14:35

台北-名古屋 15:45-19:20

名古屋-羽田 20:56-21:45

と飛行していたことが分かる。(※到着時間は時刻表の時間)

(flightradar24より)

 

容疑者らがこのサイトを使っていたかは不明であるが、航空会社が〝企業秘密〟としている機体の運用について、インターネット上では公然の情報なのである。

今回の手口について、禁制品の密輸事情に詳しいジャーナリストの竹村明氏は次のように説明する。

「以前から、国際線の機体をそのまま国内線で運航する航空機を使て覚醒剤などの禁制品を密輸するという手口は存在していました。特に、海外から国内に入り、同日中に国内線として飛び立つ便は、点検や清掃時間が短いため、トイレや天井、座席の下などに隠しても露呈しづらいという実態があります。しかしながら、機材トラブルや乗客数の大きな変化があると、急きょ航空機を入れ替える可能性もあるため、リスクの高い密輸方法とも言えるのです」

当日の天候状況や急なトラブルなどにより、想定通りのフライトになるとは限らない。そんな中、何千万円相当もの金塊を飛行機のトイレに隠匿して密輸をはかるという行為は、リスクが高すぎるように思える。だが、仮に失敗したとしても、運んだ量が少なければ、正規の消費税とわずかな罰金を払えば金塊自体が返ってくる。また、仮に成功すれば、、航空券代や金塊の売買手数料などの経費を引いたとしても、1回で運んだ金塊の5%は利益として残るため、仮に今回の摘発のように金塊が全て没収されることになったとしても、20回密輸に成功すれば回収できる計算になる。こうして、成功した儲け分を次の金塊の購入資金に加算し続けていけば、十数回の密輸で損出を回収できるという点が、密輸グループを魅了し続けるポイントなのだろう。

利益がリスクを上回る以上、金塊密輸はなくならないだろう。今後は、より強い対策を講じていく必要があるだろう。

(文◎朝比奈ゆう)