【6000万円詐取】家族ぐるみで交通事故偽装した一家の結末

大阪府警交通捜査課は1月29日、家族ぐるみで交通事故を偽装して保険会社から保険金およそ6000万円を騙しとった上、さらに3000万円を詐取しようとしたとして、詐欺と詐欺未遂の疑いで大阪府大東市の建設業・大久保雅司被告(66)ら家族8人と、その知人6人の計14人を逮捕。そのうち12人は起訴されている。

大久保雅司被告らは容疑を認めており、動機については「家族に小遣いを渡したかった」と供述しているという。

大久保雅司被告らは2014年4月から2016年10月にかけて、大阪府寝屋川市や門真市周辺などの交差点で、自身の家族の乗る車に息子の友人らの車を追突させるという事故を4件偽装。大久保雅司被告や同乗していた妻(61)、三男(25)らが怪我をして働けなくなったと休業損害補償や車の修理費などを保険会社3社に請求。詐取していたと見られている。

この事件が明るみになったのは、損保会社が共同で出資して、事故、保険金などをリサーチする損保リサーチから、被告周辺からの休業補償が相次いでいることが発覚。不審を抱いて、府警本部に情報提供したことから発覚した。

昔からよく見られる古典的な詐欺とも言えるこの事件だが、家族・知人ら8人をも共犯にしていたことが異例と言えるだろう。損保代理店を経営し、自ら示談交渉をも行うというA氏は、この事件について、「極めてずさん」と言い切る。

「14人全員の休業補償と仮定して、その上に代車代が入っている金額ですから、1件あたりに均すとさして高額ではありません。だけど、いかにも素人の犯行という印象はぬぐえません。何度も同じような事故に、家族、親族、知人が遭っていれば、誰でも疑いますよ」

A氏によれば、自賠責の範囲内で最低ラインでの休業損害を請求していれば、損保会社はそこまでうるさいことは言わずに払うケースが多いという。この場合の金額は、原則として1日5700円。源泉徴収票の立証資料があり、その不足分を証明出来る場合は、1日あたり19000円を限度として支払うことが可能のようだ。

この「休業損害」というものが、無職や現金収入がない主婦も認められるために、欲にからんで妻も家族も請求し、認められていたというのが、この事件の核心であろう。

「修理費に関しては、見積もりを正規ディーラーから取り、きちんと修理を行っていれば、明らかに不審な点が発覚しない限り、リサーチは入らないものです」(A氏)

その理由は、契約者が保険を掛け続ける「お客様」であり、保険会社も性善説を信じるからだという。

大久保雅司容疑者らが企てた犯行は、信号待ちでの追突事故であり、保険的な専門用語で説明すれば「100対0の案件」を狙ったものである。だが、A氏に言わせると、このあたりにも「素人の犯行」という匂いが漂っているという。

「これまでの判例を熟知している本物の詐欺師であれば、100対0には絶対にしません。どこかに自分の非を認めて、マイナスの部分を作るのがプロの犯行なのです。今回の事件を私なりに判断するならば、非常にリスクが高く、割に合わないと言えるでしょう。やはり、素人のやる犯行です。自賠責は黙っていても1人300万円までは出ます。そこで満足するべきだったと言えるかもしれません」(A氏)

保険金が支払われた4件の事故を詐取した6000万円で割ると、1件あたり1500万円を得ていたということになる。ここに14人が絡んでいたとすると、1人あたりはたいした金額にならない。保険会社が支払いを実行していたのは、このあたりも絡んでいるのであろう。

詐欺は、一度味を占めるとその味が忘れられないため、何度も同じことを繰り返す性質の犯罪だ。繰り返すうちに、「自分は大丈夫」と信じてしまい、いつか足が付くのである。ましてや、保険会社も徹底的に調査をするのは当然である。

やはり保険とは、儲けを考えて詐取するものではなく、万が一の保障のためという原点に帰って頼るべき性質のものだろう。

(文◎RNO編集部)