【売上げ1億5000万円】違法バカラ賭博店がなくならない理由とは?

2月1日、大阪府警は、大阪・ミナミの雑居ビルで客にバカラ賭博をさせたとして、大阪市中央区東心斎橋にあるバカラ賭博店『UPSIDE(アップサイド)』の自称店長で、大阪市浪速区に住む田代将臣(まさおみ)容疑者(44)ら、20~60代の男ら計16人を賭博開張図利の疑いで逮捕したと発表した。

田代将臣容疑者らは、昨年10月から12月にかけて、カジノ用のチップやトランプを使って客にバカラ賭博で儲けさせ、配当の一部を受け取った疑いが持たれている。田代容疑者は、容疑について認めているという。

大阪府警生活安全特捜隊は、1月31日夜から未明にかけて、バカラ賭博店『UPSIDE』や売上金の保管場所とされる浪速区のマンションの一室などを家宅捜索。客の男5人も単純賭博の疑いで現行犯逮捕した。

同隊によると、『UPSIDE』は1カ月ごとに店舗を移動させ、店の前にカメラを設置したり、客に写真付きの身分証明書を提出させたりするなどして、摘発逃れをしようとしていたという。

田代将臣容疑者らは、昨年4月から今年1月までの間に、少なくとも1億5000万円を売り上げていたとみられている。店の営業内容などの記録には水溶紙を用いていて、店内からは水に溶けた状態の紙も発見された。

違法バカラ賭博については、先月30日にも、神奈川県川崎市のカジノ賭博店『Queen』の店長・国吉亮介(37)容疑者と従業員の男2人が、賭博場開帳図利の疑いで現行犯逮捕されたばかりだ。『Queen』は2017年9月に開店し、多い日で1日およそ60人の客が訪れ、わずか5カ月の間に4億8000万円あまりを売り上げたとみられている。

『UPSIDE』は約10カ月で1億5000万円、『Queen』は約5カ月で4億8000万円を売り上げたとみられており、日本では違法である〝バカラ賭博〟が、いかに儲かるかが、この売り上げからも窺える。

〝バカラ賭博〟とは、「カジノ」で行われるゲームの一種であり、トランプを使用して行われる。「バンカー(banker=胴元役)」と「プレイヤー(player=客役)」という二手に分け、どちらが勝つか、もしくは引き分けに終わるかを客が予想し賭けをしていくゲームだ。「バンカー」と「プレイヤー」には最初にトランプカードが2枚ずつ配られ(条件によって、さらに1枚引くこともある)、そのカードに記載された数を合計した数字の下一桁が、9に近い方が勝ちとなり、勝った側には、賭けたチップと同額の配当がつき倍(ルールによっては、1.95倍前後のことも)になる。一方、負けた側に賭けていたチップは、カジノ側の取り分となる。

国内の違法カジノ店では1回の賭け金の最低ラインを数千円から1万円程度に、上限は店によっては数百万円というところも珍しくない。

勝てば「自分の予想が当たった!」という高揚感とチップが得られ、負ければ「次は勝てる!」という気持ちが沸いてくるゆえ、単純なルールかつ、1回あたりのゲーム時間が数分とテンポよく進行するため、カジノの中でも特に人気の高いゲームである。海外のカジノ店では、バカラゲームは満席状態であることも多く、特にアジア圏での人気は高い。アジアの代表的なカジノ都市であるマカオでは、ゲームの8割がバカラのテーブルであると言われている。

これだけシンプルで人気のある〝バカラ賭博〟であるが、ハマったことにより、多額の負債を抱え、人生を棒に振った人間は数え切れない。2011年に報じられた、王子製紙の元会長・井川意高氏が、子会社から不正に引き出した100億円以上の金を、バカラにつぎ込んで負けていたとのニュースは、ご記憶の方も多いだろう。

言うまでもないが、〝バカラ賭博〟を含めた「カジノ」は、日本では違法である。バカラ賭博を開くと、賭博開帳図利罪で処罰され、罰則は、3カ月以上5年以下の懲役となる。また、深夜に営業している場合は風営法違反にも該当する。

しかし、いまだにカジノ店を営業する店は後を絶たない。この現状について、違法ギャンブルに詳しい竹村明氏は、こう解説する。

「日本では、1990年代頃から違法カジノ店が全国的に広まり、堂々と看板を出し営業、人気を博している時期もありました。その後、警察の相次ぐ摘発により、〝公然と〟営業する店は、ほぼなくなりました。一方で、賭けごとを愛してやまない根強いファンは存在するため、需要はなくならないのです。経営側としても、大きな利益が期待できるため、違法と知りつつも、営業する者が後を絶たないのが現状です」

かつては、日本の違法カジノ店にも、ブラックジャックやポーカー、ルーレットなど様々なゲームがあったが、それらは淘汰され、現在では、ほぼ「バカラ一色」だという。

「バカラ賭博を含めた違法カジノは、暴力団の資金源になっているケースが多いです。また、バカラ賭博については、理論上はほぼ2分の1という確率で勝てることになっています。しかし、実際には事前に次に何のカードが出るかが分かる状態に組んだ状態のトランプを使用したり、トランプに特殊なインクでマーキングし、店内に設置した赤外線カメラでそれを判読しインカムでディーラーに伝えるなど、様々な手口でイカサマをし店が絶対に勝つようにすることもできてしまうのです。つまり、公的な機関が常に目を光らせている公正なギャンブルではありません。また、日本の違法カジノ店の客は、パチンコやスロットなどと同じで〝ギャンブル依存症〟の人たちが多いのも、違法カジノ店がなくならない理由の一つでしょう」(竹村氏)

2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は、カジノを中心とする総合型リゾートの実現に向けた準備を本格化しているため、今後も違法カジノの取り締まりは強化されるだろう。それと同時に、パチンコやスロット、違法カジノを辞められない〝ギャンブル依存症〟への早急な対策が求められている。

(文◎朝比奈ゆう)