コロナ禍のため外国人がほとんど日本に入国できなくなって、すでに約2年が経った。日本は安倍政権時代にはかなり外国人を受け入れただけに、入国禁止の影響は日本経済の広い範囲に及んでいる。
安倍政権で激増した外国人入国者
8年近く続いた安倍政権が発足する直前の2012年は、海外から日本を訪れる外国人の数は年間800万人程度だった。しかし安倍政権のインバウンド振興と円安政策を受け、その後激増。コロナ禍が始まる直前の2019年には3200万人と7年間で4倍近くにも増えた。そして東京五輪が予定されていた2020年には4000万人を目標としていた。
だが2020年にコロナウイルスが広まり、世界は変わった。日本を訪れる外国人の数も3月以降はほぼゼロになり、2020年はわずか400万人で終了。1年を通してコロナ禍が続いた2021年はさらに減り、25万人で2年前の1%にも満たない数となった。
Alt text:コロナ禍前までは日本にたくさんの外国人がやってきた。
外国人減で困窮する業界
直前まで多く入り込んでいた外国人がいなくなり、日本経済は大きな影響を受けている。ホテルなどの観光業界は言うに及ばないが、外国人観光客をターゲットにしていた小売店も影響は大きい。ラオックスは外国人観光客向けに免税販売をする小売店として2019年には国内に32店舗を持っていたものの、コロナ禍によって客が激減し2021年末には6店舗まで減少した。
労働者減の影響も
そして外国人は観光客としてではなく、労働者としてもすでに日本社会にとっては不可欠な存在になっている。
安倍政権時代の2017年に技能実習生に関する法律が改訂され、これまでより多くの技能実習生を受け入れるようになった。受け入れる分野は農業、漁業、食品製造など日本人の暮らしにとって必要な業界ばかりだ。
ところが外国人が入国できなくなったことにより、技能実習生も来日できなくなりこれらの業界で労働力不足が発生しつつある。2022年明け時点ではまだ大きな影響は見られないが、長続きすればジワジワと影響が広がることが予想できる。
Alt text:現在日本の農業は外国人の労働者に頼っている。
影響の少ないお金の流れ
コロナ禍によって世界中の国境が閉鎖され観光客や労働者の移動が厳しく制限されたのに対し、お金の流れはそれほど制限されていない。
例えば日本の温浴施設・大江戸温泉物語の株式は、コロナ禍以前から米投資ファンドのベインキャピタルが大半を保有していた。しかしコロナ禍によって経営が悪化したために、2022年1月に同じく米投資ファンドの「ローン・スターグループ」に売却された。
金融業界でも同様で、最近立ち上げられた新しいオンライントレードブランドのXPro Marketsは、2022年から日本居住者向けにFXや他の金融商品の提供を始めた。XProMarketsのような金融機関の場合、コロナ禍開始後の金融緩和とそれに伴う株や仮想通貨の高騰によって、業績が以前より伸びている企業が多い。
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