日本は2年連続で大幅な賃金上昇が見込まれており、日銀にとっては10年にわたる金融刺激策の反転を検討する機会となっている。 今年見られた大幅な賃金上昇は過去30年以上で最大で、2024年まで続くと予想されている。
ロイター通信によると、サントリーホールディングス、明治安田生命保険、ピックカメラなどの大手企業が大幅な賃上げ計画を発表しており、この動きはデフレからの脱却への転換とみられている。 サントリーホールディングスの新浪剛史CEOはこれをパラダイムシフトとみなし、「今起きていることは、デフレからインフレへの大きなパラダイムシフトだ」と述べた。
岸田文雄首相が賃金を引き上げ、生活費上昇の影響を相殺するよう企業に絶えず圧力をかけていることが、この傾向の原動力となっている。 相次ぐ毎年の賃上げは、力強い賃上げを確実にし、経済停滞を防ぐという岸田首相の努力と一致している。
インフレ率が1年以上にわたって日銀の目標である2%を上回り、企業は賃金上昇率を維持するという前例のないプレッシャーにさらされている。 日本最大の労働組合リンゴはさらなる賃上げを要求しており、今後の交渉では「5%以上」を要求する予定だ。 別の大手労組であるUAゼンセンは6%の引き上げを要求する予定だ。
アナリストやエコノミストは、2024年には今年の水準を上回る持続的な賃金上昇が見込まれると予想している。 伊藤忠経済研究所の主任エコノミスト、武田篤氏は、インフレ、労働市場の逼迫、健全な企業利益の組み合わせが賃金上昇の勢いを維持するのに役立つはずだと指摘する。 企業が自社のサプライチェーンを通じてより高いコストを転嫁できることが、この傾向をさらに裏付けています。 しかし、日銀の10月の報告書が強調したように、賃金上昇を中小企業や地方に確実に拡大することが依然として重要な課題となっている。
力強い賃金上昇が継続する可能性は、岸田首相に経済的課題を克服し、国民の支持を再構築する手段を提供する。 岸田氏の政策には、大幅な賃上げを実施する企業に対する補助金や税制上の優遇措置が盛り込まれており、赤字の中小企業にも恩恵が及ぶ。
これらの戦略は、交渉において中小企業に権限を与え、より広範な賃金上昇を刺激することを目的としています。 2024年に今年の賃金上昇率を上回るよう経済界に求める岸田首相の呼びかけは、この経済課題への緊急性と取り組みを反映している。
日本銀行にとって、持続的な賃金の伸びは、物議を醸している金融刺激プログラムからの撤退を検討する上で重要な要素となる。 市場の憶測では、賃金がさらに明確になるまで、日銀が4月頃にマイナス金利を終了する可能性があるとの見方がある。 12月の日本銀行の四半期景気調査や、1月の大手企業ロビイストと労働組合との賃金交渉から証拠が明らかになるかもしれない。 しかし、究極の試金石は、賃金上昇が大企業だけでなく中小企業や地域経済にも広がり、包括的かつ包摂的な景気回復を確実にするかどうかだ。
(ロイターからの情報提供による)
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