【米国発】大学生に飲酒を強要し死亡させた社交クラブの悪しき伝統

若者の無理なペースでの飲酒による死亡事故は昔から後を絶たないが、今も大学生などを中心に多く発生しているのは各種報道などでご存じだろう。最近では今年の2月、慶応大学のテニスサークルに所属する学生が、合宿中に過度の飲酒によって死亡する事例が報道された。しかし、こういった死亡事故は、日本に限ったことではないようだ。

BBCが15日に報道したところによると、アメリカ・ペンシルベニア州立大学で今年の2月に発生した学生の過度の飲酒による死亡事故の調査結果が調査委員会から提出されたという。だが、その内容が大学の体質を辛辣に否定するものだったことから、議論を呼んでいるというのだ。

死亡したティム・ピアッツァ

この飲酒による死亡事故の被害者は、ティモシー(ティム)・ピアッツァというニュージャージー州出身の学生。彼は、「フラタニティズ」と呼ばれる男子学生が集う社交クラブの入会のセレモニーにおいて過度のアルコールを摂取。その結果、階段から転倒し、その怪我が原因で死亡したというものである。

ティムは1時間22分の間に、18本の酒を飲むことを強要され、意識を失った上で階段で転倒したというが、この時、社交クラブの他のメンバーは、救急車を呼ぶのを12時間も遅らせて彼を放置。後日、病院で死亡させてしまったのだ。このことで、メンバーの学生が過失致死で起訴されている。

調査委員会が提出した調査書によると、大学側は、大学内のこうした社交クラブにおいて行われる飲酒や各種ハラスメントに対し、衝撃的なほどに無関心だったという。大学内には、この飲酒事故のような〝堕落の極みに至るサディスティックな行為〟が奨励されているかのような現実があったが、大学の関係者は、こうした危険な行為が行われていることを知りながらも、何の対策も取らずに放置していたというのだ。

これについて、「大学は、このフラタニティズに関わる学生たちの安全を監督できなかったという極めて重大な責任を負っている」「行動しなかったことで、こうした犯罪行為の発生を許すお膳立てをしていた」と調査書は記述し、「ティム・ピアッツァは死ぬ必要はなかった」とも述べている。

この事件について、ネット上の外国人たちの間では、「大学はそれなりに対策をしていた。何事もそうだが、何かしら事件が起きる前にそれを完全に止めるのは難しいものだ」と、調査書で批判された大学を擁護する声も少数ながら見受けられる。一方で、「フラタニティズを解散すべきだ」「こうした活動は、昔から暴走しがちだった」と、こうした社交クラブという悪しき伝統を批判する声が圧倒的に多いのも事実である。

若さゆえの暴走というのは、古今東西に共通する世の真実とも言えるだろう。しかし、こうした悲劇を防ぐために、こういった行為をあらかじめ許さないという「未然」的な風潮は、以前よりも確実に強まっていると言えるのかもしれない。

(文◎コリス東条)