【狙いは大統領選?】過激国人至上主義者たちの秘密文書を発見

国家が特定個人を監視する————。

よく映画・小説の題材や、陰謀論として使われる設定の一つだが、これが現実に起こっていたとして、アメリカで注目を集めているという。

Newsweekは今月28日、FBI(連邦捜査局)が現在アメリカの黒人人権運動のメインストリームとなっている「ブラック・ライヴズ・マター運動」に関わるグループの監視を行い、そればかりか、黒人至上主義者の過激派たちが2016年に行われた大統領選挙をターゲットにして何か行動を起こすのではないかと恐れていたという機関文書が見つかったと報じている。

カタールの放送局であるアル・ジャジーラが同日に発表したというFBI及びアメリカ合衆国国土安全保障省の記録には、「昨今の警察官に対する銃撃事件を取り巻く状況は非常に繊細であり、法の執行者たちに対する(ダラス事件の)模倣犯が生まれる脅威がある」という懸念が示されたという。ダラス事件とは、2016年7月に起こったテキサス州ダラスにおいて駐車場ビルに立てこもった黒人男性が警官5人を射殺した事件のことで、犯人も爆弾ロボットにより死亡している。つまり、FBIなどでは、これに続く暴力事件が起きないかと危惧し、「黒人至上主義者の過激派たちが、共和党や民主党の全国大会において結託して暴力的な行為に及ぼうとする脅威が存在する」とした上で、ブラック・ライヴズ・マターの抗議運動を政府が監視していたという詳細について描かれているとされているのだ。

このダラス事件は、共和・民主両党の全国大会の直前に起きたものであり、それが国人至上主義者たちに対して懸念を抱かせるきっかけとなったようだ。これらの文章は、センター・フォー・コンスティテューショナル・ライツ、カラー・オブ・チェンジという公民権運動グループの訴訟により手に入ったものだという。

ブラック・ライヴズ・マターの活動家で、ボルティモアの市長選にも立候補した経験のあるデレー・マッケッソンは、以下のようにNewsweekに語っている。

「FBIによる監視を受けていたことは把握していた。昨年7月に彼を含む運動の指導者たちのもとをFBIのエージェントが突然訪問したという出来事があったが、党大会で暴動が起こる懸念ゆえであることは知らなかった」

もともとFBIには、キング牧師や、ブラックパンサーの指導者など、黒人運動のリーダーたちを監視していたという歴史が存在している。前出のマッケッソンによると、「FBIは長らく、こうした正義のために動く黒人活動家の信用を傷つけてきた実績がある」とも言う。

アフリカ系のバラク・オバマが2009年、国人初の大統領に就任するなど、米国における黒人差別は確実にその深刻さを減らす兆しこそ見えている。しかし、依然としてその闇は深いことを、今回の事例は示しているようだ。

(文◎コリス東条)