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分析:日本のデフレとの戦いのショックで日銀は政策変更に警戒

分析:日本のデフレとの戦いのショックで日銀は政策変更に警戒

  • 過去の政策変更の遅れが日銀の政策立案者を悩ませてきた
  • 上田氏は元取締役として、早期退職の危険性を知っている
  • 賃金の不確実性と世界的なリスクは、YCCへの移行が遅れる可能性を示唆している

[東京 8日 ロイター] – インフレと賃金が上昇しているにもかかわらず、超緩和金融政策から緩やかな第一歩を踏み出そうとする中央銀行の議論には、数十年にわたる日本のデフレとの苦い記憶が重くのしかかっている。

今年、上田和夫氏が日本銀行(日銀)総裁に任命され、物価上昇圧力が高まっていることから、新総裁が前任の黒田東彦氏の大胆な刺激策からの脱却を加速させるのではないかという市場の話題が高まっている。

しかし、賃金見通しを巡る不確実性と世界経済の低迷の拡大により、日銀が少なくとも秋までは物議を醸しているイールドカーブ・コントロール(YCC)政策の変更を延期する可能性が高まっていると、日銀の考えに詳しい関係筋3人が明らかにした。

関係筋の1人は「20年間にわたり金利が非常に低い国では、日銀の最初の措置の衝撃は甚大になる可能性がある」と述べた。 「日銀が慎重になるには十分だ」

日本では、日銀が短期金利を0.25%から0.5%に引き上げた2007年以来、金利が上昇していないが、当時は物価低迷の終焉が遅れていると批判された。

1998年から2005年まで日銀理事として日本のデフレとの戦いに参加した上田氏は、あまりにも緩和的な政策からの早期離脱のリスクをよく認識している。

同氏は景気回復の不安定さを警戒し、2000年に短期金利をゼロから0.25%に引き上げるという日銀の決定に反対した。

同銀行はその金融引き締めに対して大きな政治的熱を集め、8か月後に方向転換して量的緩和を受け入れることを余儀なくされた。

このような無謀な政策変更の衝撃を考慮すると、上田氏が優先するのは慎重であり、10年債利回りをゼロに下げるYCCを終了するだろうと関係者は述べた。 これは、さらに重要な政策変更が今後も予定されていることを意味します。

ある関係筋は「短期金利が低いままである限り、利回り上限の変更だけでは経済に大きな悪影響を与えることはない」と述べた。 「しかし、日銀の長く歴史的なデフレとの闘いを軽視することはできない。」

優先順位の変更

日銀と市場の考え方の大きな違いは、日本のインフレ見通しにある。

表面上は、日銀の大規模刺激策の一部を段階的に廃止する状況が整いつつあるように見える。

企業が幅広い商品やサービスの値上げを続ける中、コア消費者インフレ率は4月に3.4%に達し、日銀の目標である2%を1年以上上回った。

企業は今年の労働組合との賃金交渉で過去30年で最大の賃上げを提示し、数十年にわたる賃金上昇率の停滞を経て賃金上昇が続くとの期待が高まった。

堅調な内需が外部の頭痛の種を相殺しており、日銀は次回7月の四半期レビューで今年のインフレ予想を引き上げると広く予想されている。

しかし、政策当局者が持続的な回復への道筋を再び高める可能性のあるリスクに焦点を当てているため、現在はインフレが出口へのインセンティブとしては以前ほどではなくなっている。

別の関係筋は「過去の積極的な利上げのせいで米経済が急減速する可能性があると分かっていれば、日銀が景気刺激策の終了に慎重になるのは当然だ」と述べた。

日本の製造業にとって重要な市場である中国の低迷も、企業が来年の賃金上昇を維持するのに十分な利益を生み出すことができるかどうかについて疑問を引き起こしている。

もちろん、上田氏はインフレ率が日銀の予測を上回った場合にYCCを変更する可能性を残している。 同氏は4月の最初の政策会合で、金利を「現行水準かそれ以下の水準」に維持するという公約を撤回した。

上田氏は先月のパネルインタビューで、「政策の便益とコストのバランスが変化すれば」日銀はYCCを修正する可能性があると述べた。

黒田総裁の大規模な景気刺激策ではインフレ期待を日銀の目標を中心に再編成することができていないため、上田総裁が慎重になる十分な理由がある。

上田氏は先月、日本に根付いたデフレ感情を払拭するのは困難な課題であり、金利を急ぐことは遅すぎることよりも危険であると警告した。

同氏は「2%のインフレ率が完全に定着すると推定されるまでコアインフレ率の上昇を待つコストは、緊急の政策変更を行うコストほど大きくない」と述べた。

木原ライカさんによるレポート。 編集:サム・ホームズ

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